ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 風sプロジェクト パラノイア 〜Ep1〜 1ー1執筆中 ( No.3 )
- 日時: 2011/07/21 21:59
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: COM.pgX6)
Episode1
Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」Part1
「田舎……嫌い」
平成二十三年七月十一日月曜日 福島県
外を見回せば畑や田んぼ。 ド田舎なのが良く分る。
そんな山間地の農家の家系で国枝円は、生まれ育った。
黒髪で肩に掛かる程度のセミロング。 長身痩躯で色白。 優しげな顔立ち。
どちらかと言えば、美人の部類だろう。
寡黙で男嫌いで人見知りな性で友人は少ないし男女の仲になった事は極端に少ないが。
そんな彼女は。農家嫌いで田舎で農業を継ぐのはゴメンだと千葉県の大学に入学した。
平成二十三年三月上旬頃、血の滲む努力の元、何とか試験に合格したが。
悲しいかな、大震災で職場に行く前に内定は取り消しとなった。 それからと言うもの彼女は、職安に通いながら家の仕事、即ち農業をしながら暮らしていた。
四ヶ月近くが過ぎたが、新しい職業に有り付くのはまだまだ、厳しそうだ。
そんな、真夏の昼下がり…
「眠い……ダルイ。 気持ち悪い。 暑い。 筋肉痛い。 肌荒れる。 暑い。 暑い。 気持ち悪い。 ダルイ。 お腹減った。
寂しい。 眠い。 詰らない。 詰らない。 詰らない……あの頃が、懐かしい。 ゲームしたい……ゲーム」
彼女は、何時もの様に、お腹を出して自室で寝そべっていた。
周りには、漫画や小説が煩雑としていて机も無い。
PCは、地震の影響で倒れた箪笥に潰されて壊れた。
其れゆえ、彼女は、日中は、仕事を手伝ったり職安に通ったりするからと言い、夜は、少しの楽しみと職業検索のためにネットをさせてくれと父に頼んでいた。 彼女は、ネットゲームが好きだ。
特に、最近は、最新のネットゲーム、アストラルに嵌っている。 夜が恋しい。
暑い時間が辛い。ゴロゴロと寝苦しそうに体勢を変えながら明日、職安に行くかなだとと思い立ち履歴書を書く。 履歴書を書きながら時計を見る。 時計の針は三時半をさしている。 まだ、長い。
悶々とする。 ネトゲの魔力に魅了されている事が分る。小説投稿サイト、小説カキコと言うサイトも彼女は好きだが、今は、それより遥かにアストラルに夢中だ。
履歴書を書きながら無意識に今の感想が漏れる。
身体中がジリジリと暑い。 汗がべた付く。 午前中の仕事で筋肉が疲労している。
履歴書を書くのは面倒くさい。 毎回似たような事の繰り返しだ。 やりたい。 ゲームを。
そして、月読愛や野宮詩織と言ったゲーム仲間に速く会いたい。
この現実が、嫌だ。
彼女は、思い立ったように立ち上がり服を着始める。
まだ、書き終わっていない履歴書用紙を乱暴に畳み布団の下に隠し二階へと歩き出す。
父の部屋は二階だ。 父のPCの二つの内、一つを彼女は、使わせて貰っている。
父は、教は丁度、職安に通っていて部屋を留守にして居た。
彼女は、約束などどうでも良いと目を爛々と輝かせて電源を居れネットゲームを開始した。
「はははっ、ははは……知ってる人居るかな? この時間は、居ないだろうなぁ……」
彼女のネトゲ仲間は、皆、学生で日中は退屈な授業と言う苦行に耐え忍んでいる。
小説カキコの場合もそうだ。 日中など土曜や日曜、祝日でなければ会えない。
だが、一人でもゲームは出来る。 それに、このゲームをやっているのは学生ばかりではない。
十代の少年少女から五十代まで実に雑多だ。
廃人に陥り、毎日アストラルの世界に入り浸っている者も多い。
彼女がゲーム内で知り合った者にもそう言う存在は、多数居た。
彼女もそうなるかも知れない存在の一人なのかも知れない。 いや、確実に予備軍だろう。
「あぁ、何時も思うんだけどこのゲームの中に入るときの感覚が最高に気持ち良い! 病み付きっ」
この時、彼女は知らない。 これから先、起こる事を————
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