ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 狂 気 の 鬼 ご っ こ ( No.80 )
- 日時: 2011/07/07 18:50
- 名前: 苺歌(いちか)元志乃 ◆2p8ap0KHic (ID: Fas9i7dG)
第9話
ミッションクリア
俺はその文字がなぜか今では安心感でいっぱいだった。今まで見慣れていた文字…。俺が読んだ小説にもその文字があった。でも今までは何も思えなかった。鬼ごっこをするまでは…
「なぁ、いつまでもここにいちゃ危険だ。皆分担して逃げないか?」
「え…でも襲濫が…」
「安心しろ、あいつらはあいつらでやるよ。信じろ。襲濫を…」
「は…はい」
さて…これからどうする…。鬼に見つからずにやっていくか?第一食べ物はどうする?第二にこの首の怪我がまだ治ってないっていうのにどうする?途中で倒れることはまずないとおもう。しかし…。痛みはまだある。だけど…俺は行く。
誰に止められても…いく。
「俺さ、きになるとこがあるんだよね。今からそこにいってくる」
僚が不安げな顔で俺に問う。
「1人で?」
「もちろん、ただし男は絶対女を守れ!俺のことはきにせずどこかに逃げろ!わかった…?」
「で、でも春…」
京があせるように言うが俺は京の言葉に口をはさんだ。
「いいから!!かまうな…。次…いつ会えるかわかんねーけど俺は皆の無事を祈る。じゃあ…みんな、もういくな」
俺は僚の手を振り払い鞄を持つと後ろを振り返ってみた。皆の視線が俺へと向けられる。皆無言で俺を見つめている。いや哀れみの目で見ている気がする。俺は小さく微笑むと前を向き図書館から出ようとした。
そのとき誰かとぶつかった。ぶつかったとき香水のにおいと一緒に少し血の匂いもしたような気がした。そいつを目で追ってみるとそいつは振り返り満面の笑みをうかべた。
血の気がひいていく気がする。だってそいつはさっきまで狂っていた美亜だったからだ
「美亜?お前…なんでここに」
「悪い?てかどうした?みんな怖いものでも見るような顔しちゃってさー」
「え、てかお前血は?」
「なんのこと?」
と、美亜がごまかすように言うが俺にはとっくにばれてるよ?お前の手綺麗そうに見えて実はうっすら血がついてること。血の匂いが少ししたこと。俺は美亜の胸倉をつかむと壁につきつける。俺の目の前には前まで彼女でありさっきまで狂っていた美亜がいる。
「てめぇ、嘘ついてんじゃねーよ。皆に嘘ばれないとでも思ったか?それにお前血をなめてるとこみたし…どうしたんだよ美亜!お前こんなんじゃなかっただろ!!」
俺は美亜を乱暴に壁に叩きつける。美亜は自分の髪を弄りながら俺をにらみつける。しばらく美亜の言葉は返ってこなかった。俺は美亜を床にたたきつけると振り返りもせずに図書館の出口へと向かう。
そのとき聞こえた声
偶然かもしれないと思った声
でも聞こえたあの声
「春なんて大嫌い…」