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Re: 狂 気 の 鬼 ご っ こ  ( No.88 )
日時: 2011/07/08 13:47
名前: 苺歌(いちか)元志乃 ◆2p8ap0KHic (ID: Fas9i7dG)

           第10話


俺は今図書館を出て西山高校へと足を進める。万が一俺が鬼に見つかっても襲濫や大地、京、悠氏達が…後はやってくれるはずだ。にしてもさっきの美亜の言葉、あれ、少し傷ついたな…。ん、何で俺傷ついてるんだろ…。あんな狂った奴に嫌われてもいいはずなのによ…。

美亜…。今回の鬼ごっこすべてが終わったらお前を元に戻す。だから…それまで死ぬな…。やっぱり俺、美亜が狂ってもお前が好きだし…。

いや今はそんなこと考えてる暇ではない。西山高校について少し人に聞いてみるか。俺はキョロキョロとあたりを見回す。人一人いない。おかしいな。どうしてだ?そして俺が後ろを振り返ったとき…。

見てはいけないシーンが俺の目にとまった。



図書館の中に入っていく1人の黒いフードをかぶった人物。まさか…あれ鬼じゃねーだろーな!!まさかと思い俺は携帯を開くと京に電話をかける。

プルルルル      プルルルル


2回目のコールが終わり京の低い声が聞こえた。

「もしもし?春?どうした?」

「鬼が図書館の中に入った!」

「ほんとか?」

「あぁ、間違いなくそうだ!」

俺はハラハラしながらもう一度図書館を見る。すでに鬼はいない。もう入ってしまったようだ。手遅れだったか…。あの時俺が皆を違うところに避難させておけば…こんなことには…。

俺は最悪だ…。人殺しだ…。けどまだ電話越しに京の声が聞こえる。もしかしてまだ生きてる?

「ひょっとして隠れてる?」

「え?いや、逃げてる」

「え?」

俺は思わず聞き返す。逃げてる、って。図書館の中を?

「図書館の中をグルグルと?」

「はぁ?お前なにいってんの?ちがうから。春が出て行った後、美亜がさ皆逃げて。ここにいたらつかまるっていったから今皆外をにげてんの。」

「そ…そうか」

安心した。そうか。美亜、ありがとな。俺一瞬でも美亜を疑いそうになったけどやっぱりちがうよな。あの狂った美亜は何かの錯覚だったんだ。きっと…。さっき美亜を壁や床に叩きつけてすごく後悔した。

「ありがとな。じゃあな」

俺がそう言って電話を切ろうとすると図書館の中から耳をふさぎたいほどの悲鳴がきこえてきた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

え?誰かまだいたのか!?俺は電話越しに向かってさけぶ。

「おい!そこに1人足りない奴がいないか!?」

「え?全員い…まてよ!大地がいない!」

「何かきいてないか!?」

「いや…誰かきいてるか?みんな」

京は大きな声で叫んでいる。早くしてくれ…。あまり長電話しすぎると鬼にみつかるんだよな。

「きいてるらしい。雷神、はい」

京はそういうと雷神は怒ったような声で京にいった。

「慣れ慣れしく雷神とよぶな。ゴホン、で、澤田、きけ。涼風がなかなか逃げないからなぜ逃げない?ってきいたら『俺はもう駄目だ。皆逃げろ…。俺手うごかせられないんだ…。ちっくしょう」とかいって倒れてて…美亜がもういいから逃げてっていったから逃げてしまったんだ。本当に悪いとおもってる…澤田」

俺は今すぐにでも電話をなげて『どうして大地をみすてたんだ!お前ら友達なんだろ!』っていってやりたかった。でもできなかった。俺は何も言わず通話切断ボタンをおした。大地の顔、言葉が俺の頭の中ででてくる。

「だって…友達だから…」

すごいよ。大地…。お前。あんな痛い思いしてまでミッションがんばったよな?友達っていってくれたよな!?何でだよ…。ありがとうってお前にいいたかったんだからしぬんじゃねぇよ…。


『ブー ブー』

新着メール1件と同時に図書館の中から全身赤色に染めた鬼がでてくる。そしてそのまま向こうにいった。
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送信元 ブラック
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本文:
図書館 涼風大地 捕獲
首 足 指がおれて死んだ。
君たちもこんなことになりたくなければ逃げるんだね
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憎い…。鬼が…。西山高校は後でいくか。今は図書館にいる大地がきになる。もしかしたら生きてるかもという期待を胸に俺は図書館に後戻りする。図書館に入るときプーンと生臭い匂いが俺の鼻をつく。

目の前で横たわっているのはさっきまで何事もなかった大地だ。

無惨な体だった。手の指は明らかに反対方向にまがってて、絶対に普通ではない。首もおかしな方向にまげられている。そして眼中はなぜかえぐりとられていた。俺は大地の手首をみる。

綺麗にまかれた真っ白な包帯は今じゃ真っ赤に染まっている。

俺は大地に近づいて涙声でさけんだ

「つらかったよな?自分の手首傷つけるときこわかっただろ?なんでにげなかったんだ…?お前いってくれたろ?友達って…。お前、すごいとおもう。大地…二度も痛い思いしてるのに…なんでお前幸せな顔なんだ?」

大地はとても幸せそうな顔で横たわっていた。きっと人の役にたてたからうれしかったんだよな…?大地…