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Re: 狂 気 の 鬼 ご っ こ  ( No.99 )
日時: 2011/07/10 11:41
名前: 苺歌(いちか)元志乃 ◆2p8ap0KHic (ID: Fas9i7dG)

           第11話



ついさっきまで元気だった大地の横で俺はずっと涙を流していた。大地…。俺…お前のことさ絶対忘れないとおもう。お前も俺のことわすれんなよ…。そろそろ…いかないとな…。

ゆっくり立ち上がりでていこうとしたとき、何者かの足音が聞こえる。ゆっくり近づいてくる。危ない、今はでていくな、と俺の体が合図をおくり、俺は近くの本棚の後ろに隠れて様子を見守る。

ゆっくりと足音が近づきとうとう姿を現した。
黒いフード、また鬼だ。何しにきたんだ?もう大地にこれいじょうつらい思いさせないであげてくれよ…。

鬼は大地にゆっくり近づき大地の足を持つ。そしてそのまま大地の体を引きずっていく。


ズリ    


ズリ



ズリ




その音がどんどん遠くなっていく。鬼が消えた証拠だ。俺は我もわからずさっきまで大地がいたところを確認してみる。血だらけでどこにも大地の姿はない。




鬼はなんてやつらだ。どれだけ酷い目にあわせれば気がすむ。俺は拳を握り締めて、その場をあとにした。外にでるとなぜか見慣れた格好の男が2人いた。

1人は髪がこげ茶色の男、もう1人は黒髪の男、間違いなく襲濫と悠氏だ。

「なにしにきた?」

「いやお前の様子を見に来た。」

「は?てかなんで俺の場所がわかったんだ?」

俺が言うと悠氏がめがねをずりあげて言う。

「大地、が図書館で死んだんだろ?お前のことだ。大地が気になって図書館にいたにちがいないとおもってな。」

すごいな。改めて俺は悠氏の知的さに感心した。襲濫はなぜかソワソワしている。聞きたいことは1つ。きっとあれだ。

「華那がきになるんだろ?」

襲濫は驚きの色を隠せないままゆっくりうなずいた。

「安心しろ、あいつは無事だ。」

「そうか…ありがと」

そういって俺の手を握る。泣いているのか涙が俺の手に伝わってくる。
俺は小さく微笑んで言った。

「そんなんじゃ華那に笑われるぞ」

ハっと襲濫は急いで袖で涙をふき西山高校へと歩を進める。悠氏もそれに続いて歩を進める。あいつら、まさか西山高校に…?

「お前ら…西山高校にいくのか?」

俺の一言で襲濫が振り返り満面の笑顔で言った。

「当たり前だろ!!早くこい!おいていくぞ」

「お、おう」




俺たち3人は西山高校へと歩を進めていく。鬼に見つからないように…。