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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒蝶は夜に輝く ( No.19 )
- 日時: 2011/07/17 12:36
- 名前: 華世 (ID: 9QYDPo7T)
♯5 お惚気バラード
「恋華ー起きてー!」
朝の光が静かに差し込む寝室に妙に明るすぎる声が響き渡った。
この声は魅栗の声ではない、他の誰かだ。
————煩いなぁ。
そんなことを思いながら、恋華はゆっくりと意識を覚醒させる。
「やっと起きたねっ!」
恋華の体の上に馬乗りになっているのは、数少ない親友の一人、白木天音だ。
何処から入ったのか、どの様にして鍵を手に入れたのかは謎だったが、あえて聞かないことにしておく。
「天音、勝手に入ってこないでよね……」
呆れ顔で溜息を吐く恋華に、天音は無邪気な微笑みを浮かべる。
「だって恋華、遅いんだもんっ! ほら、もう7時だよ!?」
そう言って、自分の腕時計を恋華の目の前に差し出す。
それを見た恋華の表情は次第に歪んでいく。
「時計をよく見なさいよ、6時じゃない……!」
「ほえ……?」
恋華に言われ、天音はもう一度時計を見直す。
そして、苦笑いを浮かべて親友の機嫌を伺う。
「あ、あはは……本当だぁ。ごめんねー」
————本当に困った親友だわ。
恋華は呆れ返り、もう言葉を返すことは無かった。
昨晩とは裏腹に、雲ひとつ無い青空に輝く太陽が朝を知らせる。
さあ、今日もお惚気日常の始まり、始まり。
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