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Re: 半天使 ( No.4 )
日時: 2011/07/07 20:34
名前: 王翔 (ID: Un6CeTvg)

第二話

この、小学生がミカエルの半天使か。

天使の長である、ミカエルの……この小学生が……

「それで、帝雷に稀射の世話役を頼みたいの」

「は……?」

水奇の言葉に、俺は固まった。

世話役。

この俺が?

「い、いや、待ってくれ。俺は、小学生の世話なんて今まで

一度もないし、なぜ人付き合いの俺なんだ?」

「稀射も、人と話すのが苦手なの。帝雷なら、稀射とうまく

やれると思って……」

「いや、その……」

否定しようとした時だった。

稀射が、じっと心配そうな表情でこちらを見ていた。

自分は、嫌がられていると思っているのだろうか。

「いや、分かった」

「本当?良かった。稀射のこと、よろしくね」

「あ、ああ……」

仕方ない。

やるしかない。





そんなわけで、稀射の世話をすることになった。

稀射は、俺の部屋にやって来て荷物の整理を行っている。

せっせと、重たい物を運んでいる。

…小学生には、大変そうだ。

「あー……俺が運ぶ」

「……(コクコク)」

稀射は、よほど心を許した相手の前でしか喋らないらしい。

当然、出会ったばかりの俺は対象外だろう。

整理が終わると、一息ついた。

「その……お前、この辺りの地形は把握してるのか?」

「……(フルフル)」

「そうか。じゃあ、今から案内する」

「……(コクコク)」

と言うわけで、稀射を連れて町へ出た。

それで、一通り案内を済ませた。




教会へ帰ろうとしていた時、ある少女に声をかけられた。

長い髪の可愛らしい……

「ミカエルは、どこ……?」

「……っ!」

コイツ、まさか……

「ねえ、どこ?私、ミカエルと倒さなきゃ……」

まずい。

稀射のことだ。

こいつ、半悪魔か。

「その子?」

ソイツは、どこから出したのか斧を振り上げ、稀射に向かって

振り下ろす。

キン!!

俺は、何とか剣を出現させ、それを防いだ。

ここで、戦うのはまずい。

町が近すぎる。

逃げるしかない。

ザンっ

俺は、ソイツを振り払うと、震える稀射を抱えて全力で

走った。





「はあ…」

何とか、撒いた。

「……」

稀射は、心配そうに俺を見ている。

とりあえず、稀射の頭を撫で、笑ってみせた。

「大丈夫だ。大丈夫……」