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Re: 半天使【無言の小学生】 ( No.6 )
日時: 2011/07/08 08:08
名前: 王翔 (ID: aU0XF0c4)

第四話


あの女は、半悪魔だった。

まだ、俺たちを探しているんだろうか。

それならば、迂闊にうろつけない。

半悪魔……

人間と悪魔の間に生まれた子供だ。

それは恐ろしい力を持っている。

「帝雷」

「何だ」

クリオに声をかけられた。

またコイツか。

「悪魔退治、行かない?」

「悪魔退治とは?」

「例の半悪魔のことだよ。まだうろついているかも知れない。

だったら、危ないじゃないか。安心して外へも出られない。

だから、倒してしまえばいいんだよ」

「確かに、そうだが……」

「このままじゃ、稀射ちゃんを外に出してあげることも

できないよ」

「そう、だな」

俺は、できれば戦うのは避けたいのだが、こればかりは

仕方がない。






教会の外へ出ると、町外れの森の中に向かった。

「どうするんだ?」

「半悪魔は、半天使を狙ってるからね。半天使がうろうろ

してたら、きっと来るよ」

「そう言うものか?」

「そう言うものだよ。ほら、噂をすれば……」

そう言って、クリオが視線を向けた先にはあの女が立っていた。

「僕は、はじめましてかな。君の名前は?」

「私は……冷夏。悪魔名は、マモン」

「冷夏、ね。可愛い名前じゃないか」

クリオは、にこにこと笑う。

この状況で、よく笑える。

とんでもない奴だ。

「倒さなきゃ……半天使を」

冷夏が、斧を構える。

それとほぼ同時にクリオは、二丁拳銃を構えた。

「帝雷、援護頼んでいい?」

「ああ」

冷夏が斧で攻撃を仕掛ける前に、クリオは二丁拳銃から

炎を放った。

ゴオオオオオオオン!!

「炎……!?」

冷夏は、さっとかわした。

「ウリエルは、炎属性だよ」

「そう……」

続いて、冷夏が空中に斧わかざすと、斧は黒い光を纏い、

冷夏は地面を蹴り、宙を舞う。

ギガガガガ!

上から、黒い光が降り注ぐ。

一瞬で避けた。

冷夏は、一直線に急降下。

クリオに斧を振り下ろす。

ガッキイイイイン

クリオは、それを右の拳銃で受け止め、左の拳銃が冷夏に向かって

炎を引き出した。

「……っ!!」

冷夏がひるんだところに、俺は剣で左腕を斬りつけた。

続いて、クリオが拳銃から炎を放つ。

反撃の隙は一切与えない。

「さて、と。冷夏ちゃんだっけ?降参する」

「半天使は倒さなきゃ……」

「マモン……」

ふと、声が聞こえた。

そこには、透けた青年がいた。

恐らく、何らかの魔法による通信手段のようなものだろう。

「ルシファー……」

ルシファー?これがか?

「マモン、今日はもう十分だ。帰って来ていい」

「本当…?」

冷夏は、姿を消した。


「逃がした、ね」

「ああ……」

「帝雷、怪我の治療してくれる?」

「ああ」

俺は、クリオの傷口に手をかざし、その傷わ消し去った。

「流石は、癒しの天使だね」

クリオは、そう言って無邪気に笑う。