ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 作者・刹那から、読者様への挑戦状 ( No.9 )
日時: 2011/07/12 23:15
名前: 前城 刹那 ◆cSsNy1w6Kk (ID: iCAwesM8)

第一章

第七話「悠」

2011年7月10日・・・夢人の妹が、ゲームキャラクターと同じように記憶喪失になる4日前・・・

いわば、悠と夢人が、死の眼をプレイする前日のことだ。

夢人は、古本屋にいた。

店内は、本で乱雑しており、お世辞でもきれいとはいえない。

だが、夢人が住んでいる東京の街で、プレイステーションのソフトが買えるのは、ここだけなのである。

もしかしたら、ここに死の眼が売っているかもしれない・・・

この時、夢人は死の眼に興味を持ち始めていた。

掲示板に書き込まれていた噂・・・そして、謎のメール・・・

まさに非日常的だった。退屈な科学世界から、抜け出せそうだった・・・

だが、本当にそうなるとは、夢人自信想像していなかっただろう・・・

2011年7月14日 夕方・・・

夢人は、家に向かっていた。

夢人の家は、15階建のマンションの8階だ。だが、それほど、高級ではない。

ただ、夢人の顔は険しかった。

それには、二つほど理由がある。

一つは、妹の記憶喪失。兄の夢人さえ、忘れている。

それが、隣にセーラー服を着ているツインテールの少女だった。

これで、完全に、あのゲームキャラクターと同じになったわけだ。

そして、二つめの理由・・・それは・・・

悠が、さきほど亡くなったことである・・・

悠の隣に座っていた、一条 康介(いちじょう こうすけ)は、五限目の古典最中に睡眠していた悠が、突然犬のように震えだし、そして、そのまま横に倒れた光景を間近で見たと証明している。

その後、悠は古典の先生が起こそうとしてもビクともせず、救急車で搬送されたが、まもなく死亡したらしい・・・

「悠が・・・死んだ・・・」

さきほどから、夢人は何度もそうつぶやいている。

隣のツインテールの少女は、黙ったままだった・・・

家が見えてきた。

ガラス張りの自動ドアを通過し、少し大きめのエレベーターの手前にあるボタンの中のうち、8のボタンを、夢人は力なく押した。

その時、ツインテールの少女が、初めて口を開いた。

「私は・・・8階に住んでいるのですか?」

あまりにも現実離れしたことが起こっているため、もしかしたら、夢なのかもしれない・・・夢人はそう思った。