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Re: 作者・刹那から、読者様への挑戦状 ( No.11 )
日時: 2011/07/13 10:46
名前: 前城 刹那 ◆cSsNy1w6Kk (ID: iCAwesM8)

第八話 「ヒント=手紙 前編」

エレベーターのドアが開いたら、3つの黒いドアが現れた

そのうちの一番左の扉が、夢人の家に繋がっている。

あえて、夢人達の家とは言わない・・・今は夢人の家なのだ。

夢人の両親は旅行中のため、今日からは、夢人と見慣れたツインテールの少女の二人で生活していかなければならない。

扉を開け、少しまっすぐに廊下を進み左に曲がると、普通のいえるほどのリビングがあった。

テレビがさびしそうにポツンと置いてあり、その前には、白いソファが置いてある。

夢人は、ソファに身をゆだねた。ドンと音がした。

「はぁ・・・」

顔は険しいままだ。

「ぁ、そうだ。これ」

夢人は、ツインテールの少女に、緑のエコバックから取り出した、黒色の物体を投げた。

少女はそれを両手で捕った。

「これは・・・?」

「携帯電話・・・今まで、ずっと大事そうに持っていた物だよ。中は見てないから。気にしないで・・・」

少女は、携帯を開いた。だが、すぐ閉じた。

少女の表情は・・・ただ普通だった。何を考えているのか、夢人は察することができなかった。

「神音佐奈・・・それが、君の名前だったんだ。」

「佐奈・・・それが、私の名前なんですか?」

今までの傲慢で、明るかった佐奈とは対照的に、今の佐奈は落ち着いていて顕著だった・・・

「あそこが佐奈の部屋だよ。」

と夢人は立ち上がって、自分の後ろを指差した。二つの扉のうち、一つに、ひらがなで、さなという文字プレートがかかっていた。

「・・・」

佐奈は、うつむいていて、無言だった。その光景を見た夢人は、泣きそうになった。

「くっ・・・」

夢人は、佐奈の部屋のドアを開けた。

「ぇ・・・」

夢人は、驚いた。普段散らかっていた佐奈の部屋が整頓されている・・・

いや、部屋に何もない・・・!?

夢人は部屋に入った。佐奈は奇妙そうにその光景を見ていた。

「なんだよ・・・これ・・・・」

ゆっくりと部屋を見渡す・・・だが、本当に何もない・・・

パチ・・・何かを踏んだ音がした。

夢人は、自分の足元を見た。どうやら、封筒らしきものを踏んでいた。

「あ、あの・・・」

佐奈はとまどいながら、夢人に声をかえた。だが、夢人には、聞こえていなかった。