ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 作者・刹那から、読者様への挑戦状 ( No.13 )
- 日時: 2011/07/13 13:23
- 名前: 前城刹那 ◆cSsNy1w6Kk (ID: iCAwesM8)
第十話 「7月14日(運命の日)」
2011年7月14日、午後7時26分
夢人と佐奈は、悠の家の前にいた。
さきほど、悠の家のインターホンを押した。
中から出てきたのは、中野 章介(なかの しょうすけ)
悠の兄だ。
章介の顔はとてもくたびれているように見えた・・・
今まで当たり前のようにいた弟・・・それが突然消えたら・・・
その気持ち、少しだけ分かるかもしれないと夢人は思ったが、同時に少しタイミングを間違えてしまったのかもしれないと思った。
「こんな時にすみません・・・忘れ物をしてしまって・・・」
「いや、別に良いんだ。」
そう言って、夢人は、悠達の家に上がった。
家には、章介だけがいたのだろうか・・・?妙に静かだった。
「・・・?」
夢人は、何か妙なものを感じた。だが、そんなことを気にしている場合ではない。
早くアレを取りにいかないと・・・・
すぐさま、夢人は、悠の部屋へ行った。
悠の部屋の片隅に、死の眼が落ちていた。
「あった・・・」
そうつぶやき、急いでソレを取ると、すぐさま、家から出ようとした。
何故、こんなにも急いでいるのか・・・自分でもわからなかった。
「あ、あの・・・痛いです・・・」
佐奈の手を力強く握っていたのだろうか・・・佐奈は静かにそう言った。
「あ、ごめん」
そうは言ったものの、手は離さない・・・
ここで離すわけにはいかない・・・夢人はそう思った。
玄関の扉を開け、おじゃましました。と少し大きめの声をあげた。
そして、外に出ようとしたが・・・
後ろで、章介が見ていることに気付いた・・・
何だこの妙な殺気は・・・
何か離さないと・・・夢人はそう思った。
「あ、あの・・・悠は、ホントに・・・?」
なにげなく、章介にそう尋ねた。不謹慎だったかもしれない、と夢人は言った直後に思った。
「今まで・・・仲良くしてくれてありがとう・・・」
章介はそう言った。だが・・・
章介は目をそらした。
夢人は勢いよく玄関を閉めた。
そして、すぐさま、悠の家を飛び出し、近くの公園まで精いっぱい走った。
「はー・・・はぁ・・・どうしたんですか?」
佐奈は息を切らしながら尋ねた。
「おかしいと思わない?悠は死んだ・・・ホントにそう思う?」
「な、なんのことだか・・・?」
夢人は、公園のベンチに腰を掛けた。顔はこわばっていた。
佐奈は座ろうとしなかった。
かすかな灯りがベンチを照らしていた
「章介さんは・・・家にいた。だけど、ほかの人は家にいなかった。おかしいと思わない?悠は、今さっき亡くなった・・・なのに・・・なのに・・・」
夢人は混乱していた。それは、佐奈にも分かっていた。
「目をそらしたんだ…あの時。人間が嘘をつく時、ほとんどの人が目をそらすんだ・・・あーもう!」
夢人は、頭を抱え込んだ・・・何が何だか分からなかった・・・
7月14日・・・この日は、忘れられない日になるだろう。