ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 作者・刹那から、読者様への挑戦状 ( No.14 )
日時: 2011/07/14 12:34
名前: 前城刹那 ◆cSsNy1w6Kk (ID: iCAwesM8)

第十一話「攻略開始」


2011年7月15日 午前7時

何もない佐奈の部屋の中央で、夢人は身を縮めていることに気付いた。

「もう・・・朝か・・・?」

どうやら、寝てしまったいたらしい。

昨日・・・7月14日・・・昨日はいろいろありすぎた。

悠の突然の死去に、佐奈の記憶喪失。

夜に悠の家へ行った記憶があるのだが、あの時は頭がごちゃごちゃになっていたのか・・・よく覚えていなかった。

唯一あるとすれば・・・佐奈と走った記憶しかない。

あの時は相当混乱していたのであろう。

夢人は部屋から出ようとドアを開けた。

リビングには、佐奈がソファに腰を掛けテレビを見ていた。

髪はストレートになっていた。

「ぁ・・・おはようございます。」

佐奈は、笑顔で夢人の方を見て、軽くおじぎをしてきた。

「おはよう」

そう言いながら、夢人は佐奈の隣に座った。

「あはは・・・テレビって面白いですね・・・皆初めて見る顔ばかりですよ。」

「もしかして・・・テレビについての記憶もないの?」

佐奈は、申し訳なさそうに、はいと言ってから続けた。

「生活には支障はないです。この通り日本語も話せますから。」

「そっか・・・なんか、ごめんね。」

「ぇ、どうして謝るんですか!全然、気にしないでくださいよ!」

軽い調子で佐奈はそう言った。

「でも・・・さ。僕は君の兄貴なんだ。一番君のそばにいた。でも、佐奈を守ることもできなかったし、佐奈が一体、何に巻き込まれていたかなんて・・・今も知らない。僕は何もできなかったんだ。」

「お優しいですね。こんな兄を持っているなんて、私はよっぽど幸せ者だったんですね。」

微笑みながら佐奈はそう言った。その言葉に、夢人は少しだけ勇気づけられた。

「僕の名前は神音 夢人。君の名前は、神音 佐奈だ。」

「夢人さんですか。宜しくお願いします」

ふっと笑ってから、夢人はプレイステーション2の電源をつけ、そしてポケットに入っていた、例のソフトの手に持った。

「ずっと気になってたんですけど・・・それって・・・?」

「死の眼っていうゲームなんだ」

「ゲーム・・・ですか?」

「ゲームをしている場合・・・ではないね。でも、たぶんだけど、全部これが関係しているんだ。」

ソフトを入れる・・・画面には、カメレオンの舌・・・という文字が映し出された

佐奈の目が画面を見つめている。

(佐奈と死の眼・・・記憶喪失の原因が死の眼にあるというなら・・・
佐奈も少しは記憶を取り戻すかもしれない)

根拠はなかった。だが、何もできなかった夢人は何かしたかった。

もう後戻りはできない。

2011年7月15日・・・ついに、夢人が死の眼をプレイする・・・