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Re: 焔の天秤-Opening of the story- ( No.1 )
日時: 2011/07/10 22:34
名前: 凪雲 ◆Kqe55SnH8A (ID: Uo8bNy4h)
参照: 元*玖織ですw


*プロローグ*

 夜が迫る静かな街。
 流れる人の波の中に1人佇む少女がいた。

 烏の声が夕闇に響く。
 途方に暮れながらも彼女は微かに苦笑し、自分にはまだ笑う気力があったのかと思った。

『もう嫌…ッ、消えてよ!!』
『化け物っ!!』
『キモチワルイ』
『キモチワルイ…』
『キモチワルイ……』

 耳にこびりついた声が離れない。
 トラウマと言う物だろうか? 少なくとも、彼女の心に傷が出来てしまったことは事実だ。

 あたしにこんな力があるから…

 見下ろした両手に涙が落ちる。
 それを止める事も出来ないまま、彼女はそのままその場に座り込んだ。
 彼女には目もくれず、人の波は流れ続ける。 

 いつ訪れるか分からない救済という光を求め、ただ彼女は嗚咽した。