ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: welcome to heaven 天国へようこそ ( No.18 )
- 日時: 2011/08/23 09:09
- 名前: 王翔 (ID: hA/oaOn8)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
第十一章
空が夕焼け色に染まり赤くなった雲の連なりがゆっくり流れていくなか、草原がほのかに赤みを帯び始めた陽光の下で美しく輝いていた。
俺は草原を歩いていた。
涼しい風が吹いていて心地よい。
だが、そんな美しい風景を目にしていてもとめどめなく疑問や謎が浮かび上がってくる。
──俺を殺したのは誰なんだ?
「ん?」
視界の端に黒く白い目をギラギラ光らせ剣を持つ歪な生物がいた。
まさか、あれも死喰い人か? 恐らくそうだろう。
俺が短剣を取り出し身構えた瞬間、死喰い人は炎を剣を高らかに振り上げ疾走──すぐさま俺の目の前に現れ炎の軌跡を引きながら剣を振り降ろす。
俺は短剣でそれを受け、剣と剣がぶつかり合う衝撃音が響き、火花が散った。
力任せに死喰い人の剣を振り払うと後退し、広く間合いを取った。
身体をぞっと冷やす汗が吹き出す。
まさか、また出くわすとは……恐怖に似た感覚を覚える。
死喰い人を観察するとその目には、ありありと狂喜の色が浮かんでいた。
できれば逃げ出したいところだが、そううまくはいかないだろうな。
死喰い人がギラリと目を光らせ凄まじい咆哮を上げながら炎の軌跡を描きつつ襲いかかってくる。
「くそ……」
その一撃を短剣で受けるが、途方もない衝撃を感じる。
心臓が高鳴る。
どうすればいい? 俺は戦いには慣れていないからうまく戦えないし、かと言って逃げたところで追って来るのは間違いない。
思わず唇を噛んだ。
剣がぶつかり合っているがこのままでは力押しされてしまいそうだ。
いい方法は思いつかず、変わりに焦りが沸きあがってくるばかりだった。
そもそも、まだ訓練すらしてないんだからまともに戦えるわけがない。そう考え、半ば諦めかけた瞬間、目の前に無数の光の帯が引かれ死喰い人の身体がガラスを割り裂くような大音響を響かせながら粒子となって消え失せた。
「大丈夫? 瀬座」
そこには黒と金の装飾が施された美しい剣を持つラファンがいた。
あれ? あの剣、見覚えがあるような……。
「瀬座?」
「あ、ああ」
まだ剣のことで疑問を浮かべつつも答えた。
「無事で良かった」
ささやくような、それでもはっきりした声だった。
ラファンは剣を鞘に収める。高く済んだ金属音が草原に響く。
「疲れたよね。帰ろうか」
朗らかに笑いかけてくるラファンの言葉に深く頷く。
だが、どうしてもラファンの持つ剣をどこかで見たことがあるような気がしてならなかった。
けど、それを考えていると心の内で考えてはいけないという警告音が鳴り響くような感覚があった。