ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: welcome to heaven 天国へようこそ ( No.22 )
- 日時: 2011/08/23 09:11
- 名前: 王翔 (ID: hA/oaOn8)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
第十二章
窓から外を見上げると、空は漆黒の闇に包まれていて月の光がほのかに地上を照らしていた。
俺は夜空を鑑賞しつつ、ラファンの持っていた剣について考えていた。
──黒と金の剣。
あれは……あの日、俺の胸に突きたてられたものだ。
背後からだったから、胸を貫いた刃の部分しか見えてなかったけど独特な装飾だったからよく覚えてる。
ラファンが俺を殺したのか?
俺は首を捻る。
そうだとしたら、動機は何だ? それに、何で殺した相手の面倒を見る必要があるんだ?
分からないことだらけで頭のなかがおかしくなりそうだった。
「……直接、聞いてみるか」
その方がいい。全て聞いた方がすっきりするだろうし、もし俺の思い込みなら違うと言ってもらって謝らないと……。
★
緊張した面持ちでラファンの部屋を訪れた。
椅子に腰掛けているラファンは不思議そうに首を捻った。
「どうしたの、瀬座?」
「聞きたいことがあるんだ」
「うん、なに?」
俺は一瞬、躊躇ったが口を開く。
「俺を殺したのは、お前なのか?」
ほんの少し、静寂が訪れる。夜風の音だけが響く。
そしてラファンはゆっくりと口を開いた。
「バレちゃったか……今日、剣を使ったのが間違いだったね」
その言葉で頭が真っ白になり、気付けば俺は短剣でラファンに斬りかかっていた。
それをラファンは手で受け止める。
その手からは、血が滴り落ちる。
「何で……何で俺を」
「君のことが好きだから。死ぬまで待てなかったんだよ」
だからって、殺されなきゃいけないのか?
心の内から湧いてくるのは、怒りや悲しみの感情ばかりだった。
俺は、何をどうすればいいのか分からなくて、家を飛び出すしかなかった。
きれいなはずの月をきれいだとも思えなかった。