ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: welcometo heaven 天国へようこそ:コメントを ( No.34 )
- 日時: 2011/08/23 09:17
- 名前: 王翔 (ID: hA/oaOn8)
第二章
レンの家を出た俺は、次の手紙を届けるためにじりじりと太陽が焼けるように照り付けるなか、次の目的地を目指していた。
森を出て、丘の上を目指した。
そして、目的地に着いたはずなのに……そこには何もなかった。
「あれ?」
思わず首を捻った。
ぐるりと周囲を見回したが何もない、ただの丘だった。
おかしいな。ラファンが言うには、確かにここだったはずなんだけどな。
バッグから、地図を取り出して目を凝らした。
けど、やっぱりここだ。ここに家があるらしい。
印がしっかりとついている。
でも、何で何もないんだ?
疑問でならなかった。
「仕方ないな……帰るか」
帰ってラファンに聞こう。うん、それがいい。
俺は踵を返すと丘を下ることに決め、早々に歩き出した。
★
家に戻り、俺は靴を脱いで早足でリビングに向かい、ゆったりと紅茶を飲んでいたラファンに声をかけた。
「ラファン、丘の上に家あるって言ったよな? そこに手紙届けろって」
「ああ、言ったね。どうしたの?」
ラファンは、紅茶をテーブルに置き、にこやかに尋ねてくる。
何というか俺の言いたいことが分かっているような感じがする。
それでも、あえて聞いてくるのは何だかむかついた。
俺は、不満だったが口を開く。
「丘の上、何もなかったんだけど……どういうことなんだよ?」
「そっか。タイミングが悪かったね」
「は? 何だ?」
「あそこの家は、現れたり消えたりするんだよ」
「え?」
「天国じゃ珍しいことでもないよ。ま、死喰い人や悪党の侵入を避けるために不定期に現れたり消えたりするんだよ。
あと、あの家は……いや、何でもないよ」
「何だよ?」
ラファンは淡々と話していたのに、急に話すのをやめ、立ち上がるとこっちに向かってにこりと笑った。
「瀬座は何が飲みたい?」
「オレンジジュース……」
俺は、ラファンがなぜ話をやめたのか気になり、不満だったがラファンは俺にそれ以上問いただす隙を一切与えずに
オレンジジュースを慣れた手つきでガラスのコップに注いだ。
そして俺の目の前に置く。
俺がじっとラファンを睨みつけていると、ラファンは向かい側のソファに座り、朗らかに笑う。
「どうしたの?」
「いや」
俺は、むかむかしながら答えると一気にオレンジジュースを飲み干した。
それにしても、何でラファンは話すのをやめたんだ?
気になって仕方がなかった。