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- Re: welcometo heaven 天国へようこそ【四更新 ( No.45 )
- 日時: 2011/08/27 15:11
- 名前: 王翔 (ID: DOg8Z0f3)
第五章
灰色の雲が、蓋をしてしまったかのように空を覆い、しとしと水が降って地面を濡らしていた……。
俺は、カバンが濡れないようにと思い抱えていた。
空を見上げる。
「天国にも雨、降るんだな……」
ぽつりと呟いた。
雨が収まってくると、木々や草が水で濡れた湿った空気が漂う森のなかを歩きながら一枚の手紙を取り出した。
レンレン宛ての手紙だった。
レン宛ての手紙は、不定期にあるけど、レンレン宛ての手紙は毎日のようにあり、毎日届けることになっていた。
小人に毎日、手紙って何でだろう……。
その手紙の封には、差出人の名前がない。
何だか不思議だった。
中を見てしまおうかと思うこともあったけど、何か見ちゃいけないような気がして見たことは一度もない。
あと、この手紙は毎日レンレン宛てにあるけど、レンレンから誰かに手紙を出すことは一切ないみたいだ。
つまり、一方的なものだった。
「レンレンか……」
最初の日しか会ってないんだよな。
いつもレンだし……。
久しぶりに話してみたいな。
★
レンの家に到着すると、ドアをノックした。
返事がなく、ドアが開く様子もないので、勝手に開けてなかに入ることにした。
「おーい、てが……」
「あ、瀬座じゃないですか」
「……み?」
思わず固まってしまった。
レンの他に、女の人がいた。
輝くような黄金色の長い髪に、鮮やかな蒼い瞳……あと、下着姿だった。フリルつきの白いやつ。
「な……」
「何この子、かわいーっ!」
いきなり、ぎゅうっと抱きしめられた。
何が起こったのか全く理解できない……!
てか、この人何で下着姿なんだ!?
「ねぇ、お姉さんとあんなこととか、こんなこととかしない?」
「お……俺は、女だから……」
「あら? 私、女の子相手でもいけるのよ?」
「いや、俺はダメで……」
「レイシャ、その辺にしておいたらどうですか?」
レンが声をかけると、レイシャはようやく俺から離れた。
俺は、いざという時は全力で逃げ出せるようにと構えつつレンに手紙を差し出した。
「わざわざ、ありがとうございます」
レンは、にこやかに礼を言う。
「その人は?」
「レイシャと言いまして、丘の上に住んでるんですよ」
「丘の上……? あ、あそこか」
この前、行っても何もなかった……。
レイシャを見て、何となくラファンが誰の家なのか言うのをやめた理由が分かった気がする。
「彼女は、変態ですから気をつけてくださいね」
「あなたもね」
レンに対して、レイシャはすかさず言った。
……えーと、この二人は、
「変態仲間?」
つい、思ったことを口走ってしまった。
その瞬間、場の空気が凍りつく。
「瀬座、少しこっちに来てくれませんか? 何も変な真似はしないのでご安心を」
「ええ、大丈夫よ。本当に何もしないから……ソファで横になってくれる?」
本気で怒ってるみたいだ……。
やばい、どうしよう……。
「あ、そろそろ……」
レンが呟くと、周囲を白い煙が囲み、
「お久しぶり、なのですよ!」
タイミングよくレンレンと入れ替わってくれた。