ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: welcome to heven 天国へようこそ ( No.5 )
日時: 2011/08/22 20:18
名前: 王翔 (ID: 3f2BBQD7)

第五章


 むすっとした表情のラファンは特に足音もたてず、レンレンの目の前に行くと包丁を突きつける。

「レンレン、ここには来るなって言ったはずだよ」
「うー…いいじゃないですかー」
「君だけなら問題ないよ。けど、君の中にはレンもいるだろう?」
「ラファンは、レンに女の子何人か横取りされたこと根に持ってるですか?」
「べつに、そんなことはないよ。あの子達には、執着してなかったし。ただ、ああ言う人種が嫌いなだけだよ」
 
 レンレンは納得したように手をポンと叩いた。

「レンに横取りされないか気になるですか?」
「レンレン、いい加減にしないと刺すよ」
 
 ラファンは冷たい目でレンレンを見ながら、わずかに包丁を動かした。
 ここは止めに入るべきか?
 そう思い、動こうとするとレンレンが口を開いた。

「ごめんなさいですよ。刺されると、とーっても痛いのですよ。じゃあ、ラファンがお怒りみたいなんで、おいとまするです!」
 
 レンレンは、にっこーと満面の明るい笑顔を浮かべるとサーっと窓から高速で出て行った。
 解決ってことでいいんだろうか。
 それにしても、レンレンの言ってた下界のことって……。

「ごめんね、瀬座。変なところ見せちゃって」
「いや…べつに、ただのケンカなんだろ?」
 
 どうした俺。
 どう見ても、今のはただのケンカじゃないだろ。

「うん、そうだよ。いつものことだからね」
 
 包丁を下げつつにっこりと笑いながら返事をするラファン。
 それにしても、あんなに可愛い小人に包丁向ける奴もいるんだな。

「じゃあ、もうすぐ昼ごはんできるから、待っててね」
「あ、俺も手伝っていいか?」
「いいけど……いいの?」
 
 俺は、自信満々に笑ってみせた。

「もちろん。俺、料理には結構自信あるんだ」