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- Re: welcome to heven 天国へようこそ ( No.6 )
- 日時: 2011/08/23 08:23
- 名前: 王翔 (ID: EMu3eY/n)
第六章
朝ご飯は、俺がゆで卵カレーを作った。
ご飯をお皿の上に平らに盛り、ゆで卵をのせ、その上からカレーをかけるといったものだ。
卵が嫌いな奴は注意だな。
「ゆで卵入りのカレーライスなんてはじめてだよ」
ラファンはカレーがかかり、茶色く染まったゆで卵を器用にスプーンで割りながらそう語る。
「その……うまいか?」
「うん、すごくおいしいよ」
ラファンは、頷きながら微笑む。
俺はゆで卵カレーを一定のスピードで口に運びながらラファンに質問した。
「ラファンは、何やってるんだよ?」
「僕は郵便屋さんかな。みんなから手紙を預かって届けてるんだ」
「それ、おもしろそうだな」
いろんな人と知り合いになれそうだし、手紙の中身とか見たらおもしろそうだ。
「じゃあ、瀬座も手伝ってくれる?」
「おう」
「あ、でも…勝手に人の手紙の中身を見ちゃダメだよ」
笑顔で念を押された。
「分かってるよ……」
「じゃ、瀬座にはこの手紙を頼もうかな」
一通の手紙を受け取った。どうやらある程度は思考を読まれているらしい。
「ここから、西に行ったところに、丘があってね……その家に届けてね」
「ああ」
★
「……」
しまった。
迷った……。目指しているはずの丘は見えず、気付けば森の中だった。
森の中は木々が生い茂り、太陽の光を妨げていて暗く視界が悪い。おとぎ話に出てきそうな不気味な迷いの森などを連想させる雰囲気だ。
何か……気味が悪いな……。そう思い、眉をひそめた。 すると突然、黒いもやもやした紅い目をギラギラさせる奇妙に蠢く歪な生物が現れた。
「魂……ほしい……ころされた、にんげん……」
「……っ!」
コイツがラファンの言ってた死喰人か……。
俺はポケットから短剣を取り出し、死喰人を斬り払う。 短剣は青いまっすぐな軌跡を描き死喰い人を両断する。
死喰人はあっさりと粒子となって消え去った。
「ふう……」
「たましい……」
「におい、する……」
「喰いたい……」
気付けば多くの死喰人に囲まれていた。
この数は……まずいかもしれない。
「この……」
攻撃を短剣で弾きながら後退し、隙ができたら青いきれいな軌跡を描きながら死喰い人を両断し、身体を抉り突き刺し倒し続けたが数が多すぎて全ての死喰い人の動きが把握できず背後から大きな衝撃が走る。
「う……!」
俺はバランスを崩し、そのまま膝をついた。
立ち上がろうにも傷が痛み、うまくいかない。
冷や汗が流れる。このままだと……やられる。ここで喰われたら次はない。身体の奥から恐怖のような形容しがたい何かが這い上がってくる感覚を覚えた。
不意に何かを切り裂くような音が森に響き、白と黒が入り混じる閃光が走り、いきなり死喰人が消え失せた。
「え……?」
雪を連想させるような真っ白な髪に金の装飾が施された漆黒のローブを纏い、白と黒の双剣を持つ青年だった。
何か冷たいオーラを纏っている感じがして、寒気がした。
「大丈夫ですか、瀬座」
ソイツは双剣をしまいつつ優しい表情をする。
「何で、俺の名前を」
「レンレンの中から、見ていましたから」
「え……?」