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- Re: welcometo heaven 天国へようこそ:八章完成 ( No.66 )
- 日時: 2011/09/02 20:45
- 名前: 王翔 (ID: V9.d7PSD)
第九章
ラファンに連れて来られたのは、大きな宮殿だった。
青色で、豪華な金の装飾が施された人が住むには大き過ぎるんじゃないかってぐらい広い。
宮殿のなかは、石像などが置かれて床は赤い絨毯が果てしなく続いている。
俺は、こんな所に来るのは初めてで周りをキョロキョロ見回していた。
ラファンが苦笑しながら声を掛けてくる。
「瀬座、気になるのは分かるけど、あんまりキョロキョロしない方がいいよ」
「何でだよ……」
「子供みたいだから」
「むー……どうせ俺は子供だよ」
むっとして、俯きながらトボトボ歩いた。
しばらく歩き続け、目の前に大きな扉が見えた。
ラファンが扉を勢い良く開け、大きな部屋の内部が見えた。
蒼い光が反射する、綺麗な床、中央に黄金色で龍の装飾が施された玉座に一人の少女が腰掛けていた。
腰あたりまである、長い黒髪を二つに纏め、紅蓮のように赤く輝く瞳……、白とピンクを基調としたドレスに近い衣装を纏っていた。
少女は、ゆっくりと立ち上がりこちらに目を向ける。
「お客さんですか? まずは、名乗っていただきましょうか?」
「俺は、瀬座……」
「そうですか。私は、魂の管理者第三位……、セイラと申します」
セイラは、にこりと微笑んだ。
「頼みがあって……」
「何ですか?」
「レンとレンレンを、別々にして二人共、同時に存在していられるようにしてほしいんだ」
「無理ですね」
「なっ……」
即答され、絶句した。
考えることもなく、いきなり断るか?
「同時に死んだら、ああなるのは理ですよ? 簡単にそれを破るわけにはいきません。何なら、二人が同時に死んでいなかったということを示してみせてください」
「…………」
「できますか? できませんよねえ! 証明もできないのに、頼みに来たところで無駄ですよ。あなた何も知らないんですか? 無知は何の役にも立ちませんよ」
「……っ!」
不気味な笑みを浮かべながら言うセイラに対して、悔しい思いがこみ上げて来たが、反論できない。
反論しても簡単に打ち砕かれる気がしてならなかった。
「そこまでにしてもらおうか、管理者さん。そんなに人のこと貶して楽しい? そんなんで、よく管理者になれたね? 汚い声を瀬座に浴びせないでくれるかな」
「何言ってるんですか、私は管理者ですよ」
「所詮は、成り上がりじゃないか」
「くっ……」
ラファンの言葉に、セイラは悔しそうな表情でこちらを睨みつけてくる。
「瀬座、出直そう。必要なものを揃えてからね」
「あ、ああ……」
朗らかに微笑むラファンに対し、深く頷いた。