ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: welcometo heaven 天国へようこそ:九章更新 ( No.67 )
- 日時: 2011/09/03 12:56
- 名前: 王翔 (ID: 2Ybq3x/E)
第十章
宮殿を出た後、左右に赤い花をつけた木々が並ぶ広い道を歩きながら俺は、ラファンに問いかける。
「証明ってどうやるんだ?」
「うーん、それが難しいんだよね」
「そうなのか……」
正直、証明なんてできる自信なんかなかった。
それに、仮に証明する術が見つかったとしても、レンとレンレンが同時に死んでないという保証はない。
その証明で、逆に二人が同時に死んだと証明してしまう可能性だって十分にあり得る。
「あ、そう言えば……見につけてた時計って、死んだのと同時に止まることが結構あるみたいだよ?」
「え? でも、生前見につけてた時計なんか持ってるのか?」
「持ち歩いてたなら、あると思うよ? だって、君も来た時は服やポケットの中身は生前のままだったよね?」
「そう言えば……」
けど、証明できるのか?
それに、レンとレンレン両方が時計を持っていなかったら意味がない。
★
家に戻るとレンに入れ替わっていた。
レンはソファに座っていた。
「で、生前に持ってた時計を寄越してほしいんだ」
「時計ですか」
「ああ」
「デジタル時計だったので、時間は消えてますが」
「いや、魂の管理者はデジタルでも、最後に表示された時間を映し出すことが可能なはずだよ」
「そうか」
ラファンの言葉にほっとして、胸を撫で下ろした。
「ところで、その前に──」
ラファンは、水の入ったコップを取り、レンの目の前に立つ。
そして、レンの頭の上でコップをひっくり返し、水を浴びせる。
「な、ななにやってんだよ!?」
「僕は、正直レンのことで協力するのは嫌なんだ。まあ、これで何とか協力してあげるよ」
「そうですか」
「……ラファン、お前って性格悪いって言われないのか?」
「そんなに悪くないと思うけど?」
「…………」
「では、私は時計を探して来ます」
「あ、ああ」
レンは特に気にする風もなく、立ち上がった。