ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

0。 ( No.1 )
日時: 2011/09/12 00:59
名前: 左倉. ◆BbBCzwKYiA (ID: C/uisxMB)
参照: http://五つ「六」つ七つでその手を上に。

時に、人間というのは誰であれとても残酷な部分を秘めていると思う。
なんでこんな柄に合わないような馬鹿なことを言い出したのか、って聞かれると、それにはたいして深くもないが色々と混み合った事情があってだな……そんなに長くない話だ、聞いてくれ。いやむしろ聞いてください。
俺の友人がチョコレートを食べていた。
なんだ普通じゃないかって今思っただろ。普通じゃない、全っ然普通じゃないんだよ最後まで聞けよ。
もうホワイトチョコレートより凄いんじゃねーのって位に甘ったるいことで有名な製菓会社の板チョコを、それはもう見てるこっちが喉が痛くなってくる位大量に、俺の友人が食べてたんだよ。しかも、本来ならば弁当とかパンとかそういうものを昼飯として食べるはずの昼休みに。
今までこの少し幼い子供のようなところのある友人がものを食べている所を見たことが無かったので(彼はこれまで学校に飯を持ってきていなかった)、腹とか色々大丈夫なのかと思ったことはあってもそれに疑念を抱いたことは無かった。
……こいつが珍しく飯を持ってきてるって言ったのは、昼休みが始まったばかりの時の事だ。まさかそれが大量のチョコだなんて思いもよらなかった俺は、じゃあ一緒に食おうぜ的な軽いノリで屋上に誘った、その結果がこれだよ!甘いもの苦手な俺に死ねと!新手の嫌がらせかこれは!
それまでは普通にいい奴だと思っていた友人のこんな姿をいきなり見せられればそう思いたくもなるだろう。

「……なあ、雨宮」
「なに?」
「……大丈夫なのか?」
「おいしいよー」

……うそだろ。大丈夫なのかこいつ。今度は頭的な意味で。
俺がそんな目で見ていることもお構いなしに「昼飯」らしい甘ったるいそれを頬張る彼の姿に、正直目眩しか覚えなかった。
本人にはその気はないのかもしれないが、俺にとってはどんな拷問や刑罰よりも効果があったらしく、午後の授業は殆ど保健室で過ごしていた……らしい(どうやらうなされていたようだ)。最初の柄に合わない一文は、つまりこういうことだ。
……というか、あいつの場合は何の悪意もなしにそういう、あまり気分のよろしくないことをするから、余計質が悪いのだが。




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やおい(ヤマなしオチなし意味なし)な最初のお話。
なんだこれは。

2011/9/12 微修正