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Re: 大好きだった君へ無様に生きた私より ( No.34 )
日時: 2011/08/22 10:37
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: B1rykyOu)

                Capitulo Ⅳ 『彼とはコインの裏表』



 静かに問うアリソンに対し、猫は呆れたような表情を浮かべ、

 「狙い? 何も、そんなものは無いさ。 魔王、サタンとしてのビジネスさ。 最終決戦……ラグナロクに使える駒の確保と、力の確保。 今度こそ、天界をひっくり返してやりたくてね」

 猫は本棚の上から飛び降りると、まだアリソンの壊していない台の上に腰掛ける。 
 それと同時、再びあの映像が、彼女の頭をよぎる。 猫が、人の姿に成っていくのだ。 黒い人影に、見覚えの有る癖毛。
 映像が消えた直後、

 「猫の姿では、君もボクを下に見かねないね。 人の姿で、話すとしようか」

 全く同じだった。 猫は台に腰掛けたまま、人の姿に代わった。
 それも、黒いコートを身に纏った、見覚えの有る紫がかった黒髪の青年……。
 それに、思わず私は目を見開き絶句する。
 そこに居たのは、紛れも無く私の捜し求めていた彼。 ヴァン・ノクターンだったのだから。

 「で、話を続けよう。 いや、商談というべきか。 率直に聞く。 君は、ボクの傘下に入るか否か。 働きにもよるが、望む報酬を用意する。 不死鳥を誘おうと思ったのだが、彼女はどうももう死ぬつもりで居るらしい。 不死身の駒はいくら居ても良いものだからね」

 嘘だ。 どうして……?

 「……ヴァン?」

 その言葉に、彼は疑問符を浮かべる。 しばらくの沈黙の後、彼の疑問は解消したらしい。
 彼が口を開く。

 「……そうか、貴様はあの時の怪我人か。 よかったな、この男のおかげで生き延びられたらしいな」

 ……。
 アリソンは、歯を食いしばり、サタンを睨む。

 「どうした? まさか、私を殺すつもりではあるまい? 無駄だ、貴様と同じで私も死にはせん」

 拳を握る。 硬く、力強く。

 「何で、お前が……! 何で! どうして、お前が彼の姿をしているんだ! 答えろ!」

 アリソンは、左手でサタンの胸倉を掴むと高々と持ち上げた。
 こんな力、元々彼女には無い。 感情を、力に。 魔力を経由し、変換している。
 怒りほど、力に変換するに相応しいであろうエネルギーは無い。

 「フン、貴様に私が殴れるわけが無かろう?」

 余裕を見せるサタンに、アリソンは右拳を叩きつける!
 木っ端が舞い、埃が周囲を目隠しする。
 これだけの音に、何故誰も気付かないのか不思議に思うかもしれない。 だが、これには理由があった。
 城の人間は、今の轟音に気付いていた。 だが、近づくのを躊躇っているのだ。
 音源は、恐らく書物庫の置くにある資料庫。 そこの結界を通過すれば、並の人間であれば死んでしまう。
 つまり、気付かれていないわけではない。 気付かれているが、寄せ付けないのだ。

 「さぁね? 何の事だカ。 さっパり分かラないナ」

 明らかに、彼女にそのサタンの姿は動揺を与えていた。 不規則に、声が裏返っている。
 殴ったことを、後悔するかのように彼女はサタンを持ち上げていた手を離した。

 「そうだな、何故この男の入れ物を使っているか……。 理由としては簡単だ。 天使達の魔術、聖魔術を無効化できる体質を持っている。 つまり、敵の攻撃を無効化する入れ物なのだ」