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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 大好きだった君へ無様に生きた私より ( No.63 )
- 日時: 2011/09/12 20:46
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: lkF9UhzL)
不思議だ……。 体が軽い。 気分がいい。
ついさっき、刀に奪い取られ、空になったはずの魔力が身体を満たす。 今までの最大値を遥かに超えた、その魔力の量はまさに異常。
今なら、どんな事でもできそうな……爽快感。
「さて、再開と行こう」
「いいや、それは無理だ。 ずいぶんと早く……ことを成したようだからな」
狼の言葉の直後。 彼女の視界が、闇に包まれた。
否。 薄暗い、星の無い空の下に落ちた——と、言うべきか? 彼女の足元から広がる波紋は、光の反射を示している。
光源は無く、光のある、矛盾そのものが、彼女の目の前で展開されている。
「時は満ちた。 君も私と同等の力を手に入れ、不死鳥と成った」
彼女の耳に、聞き覚えのある声が木霊する。
闇の中から迫り来るそれは、見覚えどころのものではない。 彼女が“最もよく知っている人物”が、彼女の目の前に立っていたのだ。
それは、ヴァンでもなく、サタンでもない。
不死鳥が……。 アリソン・F・セイファートが、その小さな手に自分と同じく夜叉を握り、佇んでいた。
「不死鳥は、フェネクスはこの世に二人と存在し居えない。 双方が生き延び、他方の骸を踏み越え、生を手にする。 今回の私は……私を殺せるか?」
Capitulo Ⅵ『落下する刃はその瞳に時を移し出す』END
Capitulo Ⅶ『不死鳥は骸の島で一人鳴く』
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