ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 大好きだった君へ無様に生きた私より ( No.7 )
- 日時: 2011/07/29 15:07
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: B1rykyOu)
- 参照: ジェームズ・ノットマン……亜麻色の海賊以来の登場だとおもう
呪われた……村?
「確かに、砂漠からここへ来ていた事には驚くべきだけど。 ここに、空間の捻れがあって繋がっていただけだろう。 単刀直入に聞く。 何故、この村は滅んだ? 妖狐の村。 それも、民家を見れば相当な数だ。 滅ぶ要因が、見当たらない」
「そんな数なんて、要因にはならないものさ。 私の村を離れた10年間の内に、魔物の襲われただかしたんだろう。 私が小さい頃は、まだここに狐の村なんて無かった。 人間の市というものが有ってね、和歌山とも呼ばれていたと思ったけれど、そんな大昔の終わったことはどうでも良いだろう? 私は刀を新調しに来ただけさね。 そうだねぇ、刀身の黒い、ボロ刀だ。 見んかったかい?」
彼女は面倒くさそうに頭を掻き、
「そうかい、見んかったか。 なら、探すしかないね。 お前さんも一緒に来るかい? どういうわけか村は、狂気に満ちてる。 他所モンが一人でほっつき歩いた日にゃ、おっ死んでるのが落ちさね」
言葉には、確かに出していない。 そんな事、聞かれるまで考えもしなかった。
だが、確かに見ても居なければ知りもしない。 何故?
何故この女は、記憶を読める……? いや、記憶を読めるなら、私に『誰だ?』などと聞く必要性は無い。 それも、それを有耶無耶にするための質問だったか?
思考する姿を見てか、彼女は微笑み、背に背負っていた細長い包みから刀を取り出し、腰に挿した。
「ついて来んさい。 私から、離れちゃぁだめだ。 死にたくないならね」
そういうと、彼女は尻尾を振りながら歩みを進める。
辺りが薄暗くなり、魔物の鳴き声が更に増える。 それに伴って、彼女の表情も闇に消えていく。
「何処まで行くつもり?」
「そうだねぇ、私の家までで良いだろう。 ほら、もう直ぐそこに見える。 “明るい民家”さ」
アリソンは、我が目を疑った。
廃村に、ぽつんとたたずむ巨大な屋敷。 それだけであれば、驚かない自信があった。 だが、廃村に、『明かりの煌々とついた民家』があったのだ。
誰もいないはずの村で、ありえるような現象ではない。 誰かが……居る?
「下がってなさい、私の家といえども……どうやら簡単には入れてくれそうに無いからね」
その言葉と同時。 二人の行く手を、巨大な錠前で強固に閉ざされた鉄の門が、阻む。
それに対し、空は腰の刀を抜くと同時。 錠前が二つに分かれ、地面へ落ちた。 刀を鞘に戻し、門を蹴破る。
重そうな門は、軽々と吹き飛び、二人に道を明け渡す。 その直後、二人はその視線に気付いた。
「さてと、狐の頭首とは聞いていたが……。 また、可愛らしい奴が来たな」
茶髪の青年が、金色の瞳で二人を眺めている。 他に、人が居る気配は無い。
最も、この男から感じられる雰囲気も人とは程遠かった。 空に似た、妖怪の様な雰囲気。 それも、殺気だけであれば彼女以上。
「久しぶりだねえ、ジェームズ・ノットマン。 DNA能力者が主流のこのご時世に、レベル型能力者なんてものがまだこの世に残ってたのかい」
「フン、何とでも言うが良いさ。 俺も俺で……目的があって夜叉を求めているのでね」
彼は老人のような声で、空に返す。
「どうしたんだい、その声は力を求めすぎた結果だろう? 妖力を感じる。 ここの村の殺戮も……あんただね」
……。 彼は一瞬の沈黙の後、
「ご名答。 この村の狐どもを殺したのは、俺だ。 狐の妖力が欲しくてな。 最も、妖力を手にするということは、年月を手にするということ。 何かを老いさせるほか無かったんでね」
空はその言葉に対し、刀を抜いた。
- Re: 大好きだった君へ無様に生きた私より ( No.8 )
- 日時: 2011/08/03 11:18
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: B1rykyOu)
一撃で倒せる間合い。 それを互いに読みあっているのか、中々二人は近づこうとはしない。 空に関しては、一歩でも相手にふみよれば、殺されるのではないかというほど警戒している。
無理も無い。 村人全員を殺したと、今この男自ら告白したのだ。 村人を殺した。 つまり、村人を束にしたよりこの男が強い。
「どうした、警戒しきっているな? 無理も無い話だが、貴様一匹が、村中の狐総出でかかるより、強いはずがあるまいに」
ジェームズは、黒い犬を模したような仮面を被り、その手にサバイバルナイフを握っている。 刀よりも、接近戦では刃の短いナイフが早い。
これはますます、空が不利だ。
「私も、協力しようか? 多少の力にはなれると思う。 一応、魔術の心得はあるからね」
アリソンはその手に、青白い炎を灯す。 激しく火花を散らし、その炎は自らの存在を誇示するかのように。
彼女の掌で勢いを強める。
「そうかい、すまないね。 今のあたし一人じゃ、確かに荷が重そうだね」
空は、刀の切っ先を相手に向ける。 その瞬間。
空気が変わった。 どろりとした、悪寒を感じるような嫌な空気。 粘液の中に居るのではないかと錯覚するほど、それは嫌によく感じられる。
「すまないが、私の妖力を周囲に展開した。 ちと我慢してくれんかい」
その言葉と同時、空が動く。
馬鹿正直。 いや、馬鹿といっても良いかもしれない。 ナイフを持った相手に、刀一本で正面から突っ込んだのだ。
もちろん、相手の方が圧倒的に早い。 横薙ぎに、相手はナイフを振るう。 一閃。
空の体が腰からうえと下で二つに割れた。
「容赦ないね」
彼女のその言葉と同時、両断されたそれは霞のように消え、
「背中ががら空きだよ」
無防備だった彼の背に、刀の一太刀。 鮮血が噴出し、彼の四肢は力を失い地面に倒れこむ。
彼の背から、人影が出現する。 その姿は、着物姿の狐耳の女。 空だ。
「恨むんじゃないよ、私の憎しみの方が強いんだから。 それに……この程度で死ぬ玉じゃないだろう? 斬られたフリはお止め、生きてる事知ってるから」
「生きてるって?」
「ああ、生きてるぞ? 死ぬものか、狐の妖力……すばらしいな、刀傷すら塞ぐとは、予想以上だ」
彼の言葉に、空は顔をしかめ、
「試したんだね? 私の仲間から奪った力を、試したんだね」
「ああ、そうだ。 狐の力は強大だと言うが、実際は如何ほどの力があるか。 試さなくては、知る事は出来まい?」
彼の言葉に、空は激昂する。 その隙を突き、彼はナイフを片手に動いた。 刀の一太刀をナイフで易々受け流すと、空の背から刃が生えた。 それの直後、徐々に紅い液体が帯を染める。
「……片をつけたつもりかい? 甘いねえ、私は……とうに死んでるんだよ! 往生際悪く、魔神に殺された人間が! 未練たらたらこの世に留まるんじゃないよ! この、意気地なしめ! ……ま、礼をいわにゃならんけどね。 殺してくれて、ありがとう。 おかげで私も、空狐だよ。 狐の妖力ってのはね、死んでからが真骨頂さ。 死んで無い人間が、私らの力を扱えると思ったら、大間違いだよ!」
空が怒鳴る。 それと同時、空を刺した彼の体に、異変が起きた。
体が、四肢が、末端から順に崩れていくのだ。 それも、砂人形を突いたかのように。 人間の体が、砂となって崩れていく……。
「空、君は本当に何者?」
アリソンの口から、思わずその言葉が漏れる。
恐らく、このクラスの化け物なら私を殺す術も分かる可能性がある。 つまり、空クラスの怪物とは、出会わないようにすべきだ。
最も、今まで出一番強いのが彼女と言う事は、遭遇率は3年に一度。 実際は、そこまで警戒するまでも無い。
「なぁに、いましがた死んだばかりの空狐さ。 さて、お前さんの探しているのはやはり、魔術か。 なら、私とおいで。 夜叉のあるところは、恐らく神器殿だ。 お前さんの探し物も見つかるだろ」
- Re: 大好きだった君へ無様に生きた私より ( No.9 )
- 日時: 2011/07/31 11:30
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: B1rykyOu)
屋敷の中に入ると、そこはまるで迷宮とでも言うべき造りだった。 右に曲がったはずが、ついさっき右に曲がったところの、左側の道からもとの道に戻されるのだ。
空間が捻じれきって、屋敷内は混沌としている。 さっき通ったはずのところが、今は別の通路へと続いていたりと変幻自在。
そして、実際のところ空ですらその道筋が分かっていないのだ。
「あれ、変だね。 さっき曲がったところじゃないか、どういうことだい……」
どうやら、彼女には空間の捻じれなどという概念が理解できていないらしい。 それどころか、それの存在すら、恐らくは知らない。
「空間が歪曲してる。 それも、ランダムでつながり方が変わるらしい。 私が手を貸そうか? 私も早く、魔術が知りたい」
その言葉に、空は面食らったような顔で、
「なんだい、あんた。 この幻想屋敷の造りを知ってるのかい?」
もちろん、そんな事は知る由も無い。 よって、アリソンは首を横に振る。
「知らない。 幻想屋敷って名前も、この場所も。 この建物のつくりは、私が知ってる建物のつくりとは、ずいぶん違う。 何処の……国だろうね? まあ、まずはこれを見て」
アリソンはポケットを探ると、コンパスを取り出し手の上に乗せた。 すると、コンパスは北をさすことなくクルクルと回る。
「歪曲空間の接続の仕方で、北の位置がいくつも出来る。 だから、来たがこの屋敷の中には無い。 さて、ここからが本題。 こっちのコンパスを見て」
「コンパス……? 方位磁針じゃないのかい?」
アリソンはそういうと、ポケットから黒い箱のようなコンパスを取り出すと、蓋を開けた。
そのコンパスも、蓋を開けたとたんクルクルと回り、北を指す気配が無い。
「方位磁針? ま、いいや。 さっき、目的地を聞かせておいた。 神器殿に通じる通路を教えてくれる。 実際、半径50メートル以内までの道筋だけしか教えてくれないから、何処が何なのか分からないけどね。 さ、行こう」
コンパスはクルクルと何度か回ると、やがて道を示した。
目の前を、直進。 次の道を右に、左に。 壁をさして、それを飛び越え、直進。
恐らく、半径50メートル以内に入ったのだろう、コンパスはクルクルと回り始めた。 それを、ポケットに戻し、
「この屋敷、誰が造ったの?」
思わず、その強力な仕組みに驚いたアリソンが問う。
「私の曾爺様が造ったと伝わってる。 空狐の中でも、桁外れの妖力を持っていて、この世を統率しようとして西方の魔物に殺された」
最後の三択。 直進するか、左右どちらかに曲がるか。 その答えを考える前に、空は通路を直進する。
それも、さも当然と言うように。 仕方が無く、アリソンも空に続くと、目の前には大きな蔵らしき建物が出現し、二人を前にその扉が開く。
「何で、通路が?」
「いざって時は、真っ直ぐ進むモンだよ。 考えたって、答えは出ないからね」
空はそういうと、アリソンの手を引き蔵の中へと踏み入った。
カビっぽいにおいがする。
空が掌に炎をともすと、蔵の中を照らす。 壁一面に書物が並び、一番奥の壁の真ん中。 そこに、古びた漆塗りの鞘に収められた刀が、祭られていた。
これが……夜叉?
- Re: 大好きだった君へ無様に生きた私より ( No.10 )
- 日時: 2011/07/31 19:54
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: B1rykyOu)
「呪術所、魔術書は壁の本棚だけで全部。 欲しければ持って行って構わないよ」
空のその言葉に甘え、空に手渡された松明で背表紙を照らし、目を走らせる。 そして、予想していなかった。
そこまで、期待していなかった。 だが、その期待に答えるように、それはそこにあった。
黒表紙の、分厚い書物。 背表紙は、英文で『Marquis of no 37th rank death』と表記されている。
……もしかして、もしかしたかもしれない?
アリソンは、その書物を手に取った。 それと同時、彼女の後ろから、足音。
ひたひたと、二人しか居ないはずの蔵の中に、三つ目。
「誰?」
アリソンが振り向くと、そこには狐の面をした……さっきの男が佇んでいた。 片手に、ナイフを構え、明らかに自分を刺し殺そうとしている。
「グケケケケ!」
男が、仮面越しに哂う。 気持ち悪い、吐き気を催すような声で。 その手に持ったナイフを振り切り、寸前で避けた彼女の髪を少し切り裂いた。
それは地面に落ちると、金から銀へと色を変える。
本体から切り離され、魔術の発動範囲を出た。 そして、魔術が解除された。
つまり、この姿は偽り。
「ヒドイな、髪の毛切られるのって、女の子にとってショックな事なんだよ? 私に限っては、そこまでショックじゃないけどね」
アリソンは、狐仮面に手を差し伸べると、
「死人は失せろ、君じゃ彼女には適わないよ」
冷ややかな瞳で、それを見た。 それと同時。
狐仮面は何かに吹き飛ばされ、蔵の壁に激突すると動かなくなった。 そこに、夜叉を片手に握った空が近寄っていく。 そして……夜叉を鞘から抜いた。
黒塗りの刃は刃毀れし、所々罅割れ、今にも崩れそうな刀。 傷が無い頃は、名刀と呼ぶに相応しかったのだろう。 わずかに残った刃が、それを物語っている。
「試し切りには、丁度いい。 夜叉は斬られたと言う記憶をねじりこみ、斬られたと物体に錯覚させて斬る刀。 失効していれば、ただのガラクタ。 砕け散っちまえばそれまでよ」
空はその言葉の直後、今にも崩れそうな刀を振り下ろした。 血液が飛び散り、男の四肢は再び力なく垂れ下がる。
直後、足音が、もう一つ、二つ。 蔵の中を歩き回る。
三つ、四つ。 次第に、その足音は増えていく。
『我が怨念を喰らいしその刀、汝。 我が邪念を受け入れるか……』
その足音が、言葉を発する。 何かが、発動した?
アリソンはその書物を右肩の魔方陣に吸い込むと腰の剣を抜く。 相変わらず、刃毀れが酷く、斬ると言うより殴るに近いであろう一撃を、その声の元に叩き込んだ。
だが、手応えが無い。 どうやら、魔力体か何かなのだろう。 物理攻撃の類は通用しないらしいな。
「誰だい? 居るんなら、姿を見せな」
空が、声の元に話しかける。 本当は、気付いている。
足音が、二人を取り囲んでいると言う事を。 気付いている。 だが、攻撃に移る事ができないのだ。
何故……? 簡単な理由。 恐怖ゆえに、である。
私は、死なない。 だが、本能に喋りかけてくるのだ。 この声と、足音が、怖い。 久方ぶりに感じる恐怖に、足がすくむ。
「アリソンって言ったね。 あんた、早く蔵を出な。 夜叉の適正を試す仕掛けだろう、私は大丈夫。 ほら、早く!」
空のその言葉と共に、何かに突き飛ばされた。 その場から体が吹き飛び、蔵の外へと投げ出される。
恐らく、神通力と言うやつだろう。 サイコキネシスに似てるな……。
空を待つべきか? 投げ出された先は、屋敷の外。 恐らく、こういった仕様なのだろう。 そうだな、
「この書物の確認が先か……」
待つ間。 その間。
魔方陣から取り出した書物を、手に取り、目次を開く。 それと同時、
“汝、何が望みだ?”
聞き覚えのある台詞が、彼女に投げかけられる。
- Re: 大好きだった君へ無様に生きた私より ( No.11 )
- 日時: 2011/08/01 16:54
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: B1rykyOu)
この世で、残酷な事とは何だと思う? 殺人か? 虐殺か。
そんなもの、残酷でもなんでもない。 ただ、人間がどう殺されるかに過ぎない。 虫をすり潰すのと大して変わらない。
それとも、生まれたばかりの子牛を生きたまま機械にかけてミンチにするとか。 生きたまま、意識があるまま動けない人間の腹を切り裂いて内臓を抉り出すとか。
その程度。 いや、残酷と言うものは一体、何だと思う?
私には、分からない。 ただ、全て等しく同じに見える。 生きたまま限界ぎりぎりまで壊され、命を失う。 世間一般の、その概念が。
「何を望むか? 悪魔との取引に全てを差し出した哀れな男を救いたい。 三年前、これとよく似た書物によって召還された黒髪の男によって、全てと引き換えに私を救った男を、私は取り戻したい」
彼女の今まで感情の無かった言葉に、皮膚を突き刺すような殺気がこめられる。
召還は、出来た。 だが、それは望んでいたものではない。
何だ? この、炎を身にまとう巨大な鳥は……。
“そうか、貴様はあの近年サタンを召還した。 あの男の求めたモノか。 成程な。 愛……というものか、そうか。 私には理解しがたい感情だ。 だが、それを求めるからには貴様はそれ相応の代償を支払わねばならぬ。 貴様にその覚悟はあるか? その男同様、全て手を投げ出すその覚悟が……!”
頭の中に響く、美しいソプラノの声。 不死鳥の声が、彼女に襲い掛かる。
悪魔というには安すぎる、その威圧。 化け物というには美しすぎる、その姿。
まさに、神の如くとはこの鳥のことだ。
“当然、貴様が全てを投げ出せば……この世界に戻ってきた男も貴様のようになる。 それだけは避けたい事態のはずだろう? 私も、こう見えて悪魔の端くれで、不死侯爵などと呼ばれている。 が、人間には優しいと有名でな、貴様の願いは、男を救う事ではあるまい?”
その言葉に、静かにアリソンはうなずく。 そうだ、一緒にまた、笑いたくて、彼を取り戻したい。 なのに、私が居ないのでは、意味が無い。
だが相手は悪魔。
“そうか、簡単には手に入らぬ……身の丈を過ぎた大きすぎる願いだ。 だが、私にも欲しいものがある。 ……永遠を生きる不死鳥が、欲しいものがあるわけがない……と、考えているな。 一つだけ、私も持っていないものがある。 何か分かるか?”
「いいや、見当もつかない」
永遠を生きた者が求めるもの……そう安っぽい代償ではないのだろう。
“それは、死だ。 私は長く生き過ぎた、貴様が私になうと言うのであれば、私の業を全て背負うと言うのであれば、私はいかなる無理難題であろうとも……叶えて見せよう。 どうだ、私と取引をするか?”
永遠の命? 人類最後の夢にして、だれも達成しいえなかった夢。
それが、業? いや、全てと言っていたな。
「全て、と言う事は不老不死のほかに何を私は背負う事になる?」
その言葉に、不死鳥はしばらく考え込むと、
“人間の魔術に関する分野での監視と、特定の異世界同士の交流程度だ。 だが、未来永劫、それに尽力を尽くす事になる。 そして、これは私に成るに当たって、通らねばならない関門だが、今言っておくとしよう。 残酷との、戦いと克服だ”
今の彼女には理解しがたい言葉を、彼女に対して吐き出した。
Capitulo Ⅰ 『不死身は死人の町を歩む』…End
Capitulo Ⅱ 『残酷は人により誇張する』