ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.27 )
- 日時: 2011/07/27 02:54
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: WZM2PwQU)
≪直斗視点≫
全くつまらない……
俺のチームはもう試合が全て終わってしまったので、今は超暇だ。
早く終わらねぇかな、と思いながらボーっとしていると変な声が聞こえた
「きゃーーーーーーー…」
……ん?悲鳴?
体育館からだ…
先生や他のヤツらが体育館に向かって走りだしたので、俺も後を追った。
体育館に着きドアを開けると、一つの場所に女子が集まっていた。
俺は靴を脱いで体育館に入り、女子が集まっている所に向かった。
女子に近づいていくと、赤い液体のようなものが見えた。
………血か?
「!!直斗っ!」
麻衣は俺がいるのを見つけたみたいだ。
「何かあったのか?」
俺は今にも泣き出しそうな麻衣を抱きしめながら優しく問い掛けた。
周りから冷やかしの声が聞こえるがこの際どうでもいい。
「あのね……あれ…」
麻衣は女子の中央を指指した。
そこを見ると、昨日の放課後に部室で話した女が頭から血を出して倒れていた。
それだけでも十分驚くが、血だらけの服を着た藍華が一人体育館の鏡を見ながら狂ったように笑い続けていたのが衝撃的だった。
その後俺と先生たちは直ぐに佐藤(?)を保健室に連れて行った。
- Re: Part.2 「堕ちる」 ( No.28 )
- 日時: 2011/07/27 02:55
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: WZM2PwQU)
≪悠里視点≫
〜保健室〜
「ん゛……うぅ………」
意識が戻ったとき、うちは保健室のベッドに横になっていた。
「悠里…?悠里気付いた!?先生!悠里がッ!!」
ベッドの横に置いてある椅子に座っていた麻衣は半泣き状態だった。
麻衣の隣に座っていた藍華も心配そうな顔をしていた。
やっぱりさっきの藍華の表情は見間違えか……。
そうだよね…
「佐藤さん大丈夫?念の為に病院に行ってほしいのだけれど…」
保健室の先生はうちをゆっくり起こしながらそう聞いてきた。
「あ…はい……わかりました。」
「今日はマネ業休んだ方がいいよね?」
「頭打っちゃったんだし、マネ業は出来ないと思うよ?」
二人はうちを心配してマネを休む事を進めてくれた。
優しいなぁ……。
「…うん。今日は休んで、また明日の朝から頑張るよ!!」
うちはとびきりの笑顔でそう言った。
「じゃ、私たちは部活行くね?」
「また明日。」
二人はうちに手を振りながら保健室を出ていった。
さて…うちも早く病院行かないと……。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.29 )
- 日時: 2011/07/27 02:56
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: WZM2PwQU)
≪藍華視点≫
〜家〜
スッキリした。
悠里の血を見て。苦痛で歪んだ顔を見て。
さっきまでのイライラはどこかに消え去った。
部活後は麻衣と二人っきりで帰れたしね。
でも本番は明日から。
明日の朝から始める。
悠里には私が悲しんで苦しんだ分……いやその倍悲しんで苦しんでもらわないと。
そうじゃないと私の気が済まない。
私を仲間外れにした罪は重い。
後悔してももう遅い。
全部アイツが悪い。私は何も悪くない。
あぁ…明日から楽しみだな……
私は妖しく笑う。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.30 )
- 日時: 2011/07/27 02:56
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: WZM2PwQU)
≪悠里視点≫
〜朝〜
朝食は食べる気がせず、オレンジジュースしか飲まなかった。
「………よし!!」
うちは頭の包帯をキツく縛り直し鞄を持つ。
今日は少し気分が悪く、いつもよりも遅く家を出た。
〜学校〜
裏門から登校し、急いで部室に向かった。
すると部室の前に早く来た先輩たちと藍華がいた。
しかし、なぜかなかなか部室に入ろうとしない。
「おはようございます!!」
うちはいつも通り元気に挨拶をした。
……でも…あれ?挨拶が返ってこない…
「あの………」
うちが口を開いたときだった
【パシンッ】
「……………え…」
一瞬なにがなんだからわからなかった。
キレイな音が鳴ったと思うと、左頬がじんじんし始めた。
「佐藤さんが部室荒らしたんだって?」
内田先輩の言っている意味がわからなかった。
「え?うちそんな事してないですよ?」
うちはすかさず否定した。…あ……藍華と目が合った。
きっとうちを庇ってくれると思った。
「………私見ました……」
……?口を開いたのは藍華だった。
「今日の朝早くに佐藤さんが部室の中を荒らしているのを見ました!!」
え?ちょっ…藍華?
「……藍華?どういう事?」
麻衣はうちの横を通り過ぎ、藍華の前でそう言った。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.31 )
- 日時: 2011/07/27 02:57
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: WZM2PwQU)
≪麻衣視点≫
いつも通りに朝練に向かうとテニス部の皆が睨み合っていた。
急いで近づくといきなり藍華が叫んだ。
今日朝早くに悠里が部室を荒らしたところを見たそうだ。
「……藍華?どういう事?」
私は藍華の目の前に立って聞いた。
「どうもこうも……今日いつもより早く来ちゃったから、部室内のゴミを捨てに行った帰りに見たんだ……悠里が部室を荒らしてるのを…」
「佐藤さんってそういう人だったんだ」
内田先輩は悠里に冷たい目を向けてそう言った。
悠里はオロオロしている。
気が付くともう7時45分過ぎになっていた。
もうそろそろ切り上げないと授業に遅れてしまう。
「先輩……そろそろ…」
「……佐藤、アンタ部室片付けとけよ。皆行くよ〜」
内田先輩は悠里にそう言い、他の先輩たちと一緒に校舎に入っていった。
「麻衣……私たちも行こ…?」
藍華は私の服裾をキュっと掴みながら涙目で訴えてきた。
私はそんな藍華をこれ以上見たくなくて、藍華の手を引き校舎に入っていった。
悠里ごめんね…。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.32 )
- 日時: 2011/07/27 02:58
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: WZM2PwQU)
≪悠里視点≫
何がなんだかわからなかった。
なんで藍華はあんな嘘をついたの?うちが何か気に触れるような事しちゃったのかな…
【キーンコーンカーンコーン】
授業始まっちゃった……
でも部室片付けないと…
うちは部室を片付けると同時に頭の中を整理しようとした。
しかしやっぱりなにもわからない。
…そういえば最近藍華の様子変だよなぁ……
何か悩み事があるかもしれない…
よし!
ここはうちが相談に乗ってあげよう!!
部活のときになら聞けるよね…?
少しでも藍華に元気を出してもらいたい一心でそんな事を考えていた。
それよりこの部室を次の時間までにはキレイに片付けないと(汗)
……頑張るか!!
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.33 )
- 日時: 2011/07/27 22:33
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: utrgh/zS)
≪麻衣視点≫
一時間目を知らせるチャイムが鳴ったが、悠里はまだ来なかった。
……大丈夫かな…?
「欠席は〜…… あれ?高木さん、佐藤さん知らない?」
「え?あ……すみません知りません…。」
きっとまだ部室にいるだろうと思ったが、後々先輩たちを巻き込む大事になってしまわないように知らんふりをした。
私は授業中ずっと朝の事を考えていた。
悠里がそんな事するとも思えないし、藍華が嘘つくとも思えない……
どっちの言う事が本当なんだろ……
「わからない……」
私の声はものすごく小さいはずなのに、ものすごく大きな声で私の脳内に響いた。
しかし周りの音や声は一切聞こえない。
そうしているうちにお昼休みになった。
前を見たら悠里は戻っていた。目の前の席なのに今気付くなんて…
あ……お弁当……三人で食べれるかな…?
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.34 )
- 日時: 2011/08/06 23:00
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: rD6rLP90)
≪藍華視点≫
私は朝早く学校に行き、部室内をぐちゃぐちゃにした。
そして得意の演技をしながら部室の前に膝を抱えて座った。
すると後からきた先輩たちがそんな私を心配し、声をかけてきた
はい計算内。
私は表情を暗くしながら嘘を言った。
先輩たちは私の話を信じ、悠里の事を悪く言った。
いい気味。もっと嫌われればいい。
まだこれじゃ全然たりない。
悠里にはもっともっともっと苦しんでもらう。
〜お昼休み〜
【ガラッ】
「麻衣…いる?」
私は控えめにドアを開け、ヒョコっと顔を出した。
「あ…いるよ〜!ちょっと待ってて!」
麻衣は私に気付くと鞄の中に入れていたお弁当を取り出し、近づいてきた。
「あのさ…藍華、悠里も誘わない……?」
麻衣は私の顔色を伺いながらそう言った。
冗談じゃない。
「麻衣……私、麻衣に聞いてほしい事があるんだ…」
何にしようか必死で頭の中をフル回転させる。
そしていい案が思い浮かんだ。
まぁ 今は言わないけど。
「相談? うん わかったいいよ」
麻衣はそう言うと、「裏庭行こ?」と続けた。
私はそれを了承し、二人で裏庭に向かった。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.35 )
- 日時: 2011/08/06 23:01
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: rD6rLP90)
≪直斗視点≫
昼休みになり、俺はフォレストホールという食堂に向かった。
途中麻衣のクラスを覗いてみると、いつも麻衣と一緒にいたはずの佐藤が一人でいた。
麻衣は教室にいない。
藍華のクラスを覗くと藍華もいない。
きっと二人はどこかで一緒に弁当食ってんだろうな。
でもなんでいつも一緒の佐藤と食べないんだ?
佐藤は委員会も入ってないから忙しいわけじゃないと思うし……
仲間外れにされてるのか?
いやいや…麻衣はそんな事しない…。
……何かが起こる気がする。
それはとてつもなく悪い意味で。
俺は佐藤に声をかけようかと思ったが、結局かけずにフォレストに向かった。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.36 )
- 日時: 2011/08/06 23:02
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: rD6rLP90)
≪藍華視点≫
〜裏庭〜
私と麻衣は裏庭にあるベンチに座ってお弁当を開いた。
しかし麻衣も私も食べようとしない。喋ろうともしない。
そのまま数分が過ぎた。
「………相談って何?」
少しして麻衣が口を開いた。
「あのね……これ、誰にも言わないでほしいんだけど…」
私は涙目で麻衣を見た。
演技ですが何か?もちろん目薬なんて使っていない。
「わかった。誰にも言わないよ。 それでどうしたの?」
麻衣は私の目を見ながら言ってきた。
「あのね、私………」
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.37 )
- 日時: 2011/08/06 23:03
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: rD6rLP90)
≪麻衣視点≫
藍華の話は私にとってものすごく衝撃的なものだった…。
「…それっていつからなの?」
私は恐る恐る聞いた。
「マネージャーになったあの日からだよ……」
藍華はついに泣きだしてしまった。
そんな藍華を慰めながら私はどんどん心が重く感じがした。
藍華が悠里にいじめられてるなんて……
今まで私は悠里が大好きだった。
優しくていい子で、一緒にいると笑い合える。
笑顔になれる。
でもそれが全部演技だったなんて……
私は悠里を嫌いになったわけじゃない。どこかつっかかっているところもある。
でも藍華を見たらそんな思いも消えてしまいそうだった…。
私が藍華を守ってあげないと……
そうじゃないとこの子は壊れてしまう。
私が守ってあげないと—……
生温かい風が私と藍華を優しく包んだ気がした。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.38 )
- 日時: 2011/08/06 23:04
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: rD6rLP90)
≪悠里視点≫
〜部活中〜
部室内ではなにもなかった。
ただ挨拶は返ってこなかったけど(汗)
さて……昨日休んじゃった分マネ業頑張るか!!
うちはドリンク作りを始めた。
そのとき、部室に藍華が入ってきた。
そしてうちの目の前まで歩いてきた。
「ねぇ、悠里は麻衣の事好き?」
「?好きだけど、それがどうかしたの?」
すると藍華はうちの目を見てこう言った。
「私は悠里の麻衣が好きって気持ちよりも麻衣の事を好きなの。」
「……?」
言っている意味がわからなかった。
「だからね、嫌われちゃって」
藍華はそう言うと側にあったドリンクを一つとって、左肩にドリンクの中身をかけた。
うちを見て「さようなら」と言うと思いっきり叫んだ。
「悠里やめてッ!!もうやめてよッ!」
そして肩を抑えながら崩れ落ちる。
その行動に思考がついていけなかった。
少しすると足音が近づいてきて、部長さんを先頭にテニス部メンバーが部室に入ってきた。
あ……うち嵌められたんだ…
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.39 )
- 日時: 2011/08/06 23:05
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: rD6rLP90)
≪藍華視点≫
成功成功。
悠里は単純で助かるよ。
じゃ、もうちょっと仕掛けとこうかな…
「麻衣ッ……麻衣…!」
私は麻衣に泣きながら抱きついた。
丁重に体を小刻みに震わせながらね。
「どっ どうしたの?」
麻衣はオロオロしながら私を抱きしめた。
「わっ…わた……私が…ね、ドリン…ク作るの手伝お……と思った…ら…」
私はそれ以上喋らなかった。
下手につじつまが合わない事言ったら不自然だからね。
さて、そろそろ始まるかな…
私が思ったと同時に神蔵先輩が悠里を叩いた。
笑いそう……こらえなきゃ…
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.40 )
- 日時: 2011/08/06 23:06
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: rD6rLP90)
≪麻衣視点≫
見たものは地獄絵図だった。
藍華がびしょ濡れになって泣いていた。
そんな藍華を慰めてるとき、神蔵先輩が悠里を叩いた。
「アンタ最低だね!宮沢いじめといてなんでいつも笑ってられんの!?」
「もしかして宮沢をいじめやすいからマネやったの?」
神蔵先輩と内田先輩は交互に色々な事を言った。
しかしなぜか悠里は反発も否定もしなかった。
本当にやったのかも…
こんな思いが私の頭に浮かんだ。
「悠里ってこういう人だったんだ…。ガッカリしたよ」
私はそう言い放つとジャージの上を藍華に羽織り、保健室に連れていった。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.41 )
- 日時: 2011/08/19 15:12
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪悠里視点≫
痛い…… 先輩に叩かれた頬が…。
痛い…… 心が…。
藍華は何がしたいの?
なんでこんな事をしたの??
うち、藍華になにか悪い事した?
してないはずだよ… 藍華とは何もないよ…
じゃ、なんで?
誰かに頼まれたのかなぁ…?
命令されて断れなかったとか……
きっとそうだよね?
そうじゃなかったらこんな事しないよね?
聞きたい…藍華に会って理由を聞きたい。でも正直怖い。。
友達に対してこんな事思っちゃダメだけど、藍華が怖い…。
でも藍華はうちの友達だから。
友達が困ってるのをほっておけないから。
…保健室に…………行こう。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.42 )
- 日時: 2011/08/19 15:13
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪麻衣視点≫
〜保健室〜
「藍華落ち着いた?」
さっきの出来事から数分が経った。
時間が過ぎると共に、藍華はどんどんと冷静さを取り戻していった。
「……さっきの事なんだけどさ…」
私は口を開いた。すると藍華は
「聞かないで……喋りたくないよ…大切な友達の告げ口なんて…」
震える体を抑え、必死に恐怖に耐えていた。
確かに今は言える状態じゃないな…
そう思った私はそれ以上なにも聞かずにただひたすら藍華の頭を撫でていた。
それから数分するとこちらに向かって一つの足音が近づいてきた。
【コンコン】【ガチャ…】
ノックをしてから入ってきた人物は悠里だった。。
正直今は会いたくなかった。
藍華は怯えながら、私の腕にしがみついてきた。
そんな藍華を慰めるようにまた撫でる。
悠里……早く出て行って…。
私は必死になりながらそう目で訴えた。
しかし私のそんな思いは通じず、悠里はこちらに向かってきた。
そして私と藍華の前で止まり言った。
「藍華と二人っきりで話がしたい」
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.43 )
- 日時: 2011/08/19 15:14
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪藍華視点≫
【コンコン】【ガチャ…】
そんな効果音と共に私と麻衣の邪魔が入った。
今まで二人っきりだったのに…
まぁ これも計算内。 悠里がここに来る事ってわかってるよ。
だって悠里はバカだもん。
「藍華と二人っきりで話がしたい」
ふ〜ん……まぁそろそろバラしてもいいかな…
「ふざけないで!藍華になにかする気でしょ!?」
「違うよ…。何でこんなことしたのか聞きたいの」
「は?いじめたのは悠里でしょ!?藍華のせいにしないでよ!」
二人が言い合いを始めた。
つまらない…。早く終わらせよっと…。
「麻衣……私は大丈夫だから、悠里と一対一で話がしたい…」
麻衣の目を見ながらそう言う。
「…………わかった…。でも何かあったら言ってね?」
「うん。麻衣ありがとう」
私は笑顔でそう言った。今の笑顔は演技なんかじゃない。
この笑顔は自然に出てきた本物の笑顔だ。
麻衣は私の手を一度握り「またね」と言うと保健室を出ていった。
さて…… そろそろネタばらしの時間かな。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.44 )
- 日時: 2011/08/19 15:15
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪悠里視点≫
「ねぇ、なんであんな事したの?」
私は藍華の手を取り言った。
「…………なんで…?」
藍華はうちの手を取り、捻じ曲げながらこう言った。
「だってアンタうざいんだもん。」
……え?うざいって…
誰かに頼まれたんじゃなくて、自分の意思でやったって事??
「なんでうざいの?」
「まだ言わない。」
「なんで??」
うちは捻じ曲げられた手を離してもらおうとして、手を引っ込めようとした。
しかし藍華は手を離さず、より一層の力を込めながらこう言った。
「自覚してないなんて有り得ない」
その言葉に対して何かを言おうとしたが、藍華はこう続けた。
「アンタが悪いんだ。私の事退けものにして、自分は楽しそうに笑ってて…
だからね、皆に嫌われてよ。
私の罠に引っ掛かって、溺れて、苦しんで悲しんでよ。」
そう言われたとき確信した。
藍華が怖い—…
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.45 )
- 日時: 2011/08/19 15:15
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪神蔵視点≫
……どうなってんの?
佐藤は何もしてないの?
高木が部室に戻ってきたので色々と聞いたら、保健室で佐藤と宮沢が話してるって聞いた。
この状態で二人を一緒にするなんて危ないじゃないか。
私はそう思い、一人で保健室に向かった。
ドアを開けようとしたとき、こんな会話が耳に入った。
「—…皆に嫌われてよ。
私の罠に引っ掛かって、溺れて、苦しんで悲しんでよ。」
宮沢の声……
え…ってことは、佐藤は何もしてなかったの??
私……佐藤の事叩いちゃった…
…………こうなったら仕方ない…
知らんふりを続けよう。
私はこの会話を聞いていない。今の話は一切知らない。
私はここを通りかかっただけ。何も知らない。
そう自分自身に言い聞かせ、足早に部室に戻っていった。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.46 )
- 日時: 2011/08/19 15:16
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪藍華視点≫
さっきから悠里はずっと黙っている。
悠里の事だから、私に言われた言葉がショックだったのかもね。
いい気味だ。
少しずつ悠里の顔色が暗くなっていく。
体も震えだし、立っているのがやっとみたい。
悠里は傍にあった椅子に力なく腰掛けると私を見てこう言った。
「…………もうやめて……?うちに悪い所があったなら直すから…」
は?直す?バカみたい。
ってか、理由を言うわけないじゃん。
「意味わかんない。誰が言うか。」
私は冷たく言い放った。
「そんな………… どうして……。」
どこまでバカなのこの女は。
バカで鈍感で人の気持ちもわからないような奴と一緒にいる麻衣の気が知れないわ。。
最高にムカついたよ。
どんどんどんどん苦しめて追い詰めてやる。
そのうち自殺とかしたら最高なのに…。
ねぇ悠里
早く死んでよ。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.47 )
- 日時: 2011/08/19 15:17
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪麻衣視点≫
数分後に二人は戻ってきた。
悠里はさっきよりも顔色が悪い。藍華はさっきより清々しい顔をしている。
なんで悠里の顔色が暗いのか意味がわからない。
傷ついてるのは藍華の方なのに……
こんなに藍華を追い詰めた悠里の事を私は許さない。
絶対に許さない。
〜部活後〜
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました!!」
いつもの挨拶で部活が終わり、いつものように荷物をまとめていた。
するとこんな会話が聞こえた。
「佐藤、マネ業宮沢一人じゃ大変だからやらせるけど、宮沢をいじめたり手だしたりしたらマジで許さないからな」
「あんま調子のらないほうがいいよ」
内田先輩と杉山先輩はそう言って部室を出た。
しかし神蔵先輩は何も言わずに悠里の横を通り過ぎて帰った。
神蔵先輩もなんか言っちゃえばいいのに……
私は心の中でそう思っていた。
その後は藍華と二人で帰った。
久しぶりに途中ファミレスに寄って、好きな芸能人の話をしながら盛りあがった。
笑顔の藍華を見たのも久しぶりだったので、私的にすごく嬉しかった。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.48 )
- 日時: 2011/08/19 15:17
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪悠里視点≫
皆怖い……
藍華も先輩たちも、麻衣でさえも怖くなってきた…
うちの顔にいつもの笑顔はない。
どこかにいってしまった。。
〜次の日〜
〜自分の部屋〜
学校……行きたくない…。
部活も行きたくない…。
皆に会いたくない…皆と喋りたくない…。
でも行かないと……。
うちは重い足取りで支度をし、朝練に向かった。
登校途中、何度かめまいや吐き気がしたが、なんとか学校まで辿りつけた。
〜校門前〜
足が動かない……
だるい…気持ち悪い…吐きそう……
校門によっかかり、数分間ボ〜っとしていた。
しかしそれが間違いだったのか、前方から藍華が歩いてきていた。
そしてうちの横を通り過ぎるときにこう言った
「まだ生きてたんだ」
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.49 )
- 日時: 2011/08/19 15:18
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪藍華視点≫
今日の朝は何もしかけないでおこうと思い、いつも通りの時間帯に家を出た。
学校の側までくると、正門の辺りに誰かを見つけた。
よ〜く見てみるとそれは悠里。私が嫌いな悠里。
ちょっとおちょくってやるか。。
私は悠里と目も合わせずに通りすぎようとする。
悠里はホっとした表情だ。
しかし私は横を通りすぎると同時に言った。「まだ生きてたんだ」と。
悠里は「ヒッ……」と言って素早く振り返り私を見てきた。
私はそれ以上なにも言わずに一人で部室に向かおうとした。
歩いている途中、私が横目で裏門を見ると麻衣が登校していた。
私はとっさに振り返って悠里に近づく。
そしてあたかも私が悠里に声をかけようとしている雰囲気を作る。
よし完璧。
するとそれに気付いた麻衣がこっちに走って向かってきた。
「藍華!大丈夫?何もされてない!?」
あぁ…麻衣が私を心配してる……
私だけを見てくれてる。
「私平気だよ?だから心配しないで」
私は麻衣に優しく微笑みかける。
そう これ。これだけでいい。
麻衣の瞳に映るのは私一人で十分。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.50 )
- 日時: 2011/08/19 15:19
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪麻衣視点≫
朝、学校に登校していると藍華と悠里を見つけた。
藍華はオドオドしながら悠里に近寄っている。
多分優しい藍華の事だから、挨拶しようと思ってるのかな?
でもこのまま二人を一緒にさせたら危ない!
私は考えると同時に二人の元にかけよった。
まだ藍華はなにもされてなかったみたい。
悠里に何かされる前に見つけてよかった……
「藍華一緒に部室行こ?」
私は藍華の手を取り言った。
「うん。行こっか」
藍華は私の手を握った。
そのまま私と藍華は部室に足を運ばせた。
もちろん悠里を置いて。
〜部室〜
私は急いでユニフォームに着替えラケットを持った。
麻衣「じゃ、私コート行くけど、何かされたり言われたら直ぐに私の所に来てね?」
「わかった。ありがとうね…」
藍華は申し訳なさそうに私に言う。
こんなにいい子をいじめるなんて、悠里ってどんな神経してるんだろ……。
私は藍華に手を振りながら部室を出ていった。
- Re: *Flower* 『bad ending』 ( No.51 )
- 日時: 2011/08/19 15:19
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪神蔵視点≫
朝、私は奈々子よりも唯よりも早く部室に着いた。
ドアを開けるとそこには宮沢と佐藤の二人がいた。
「神蔵先輩おはようございます。」
宮沢はいつものようにニコニコしながら私に挨拶をしてきた。
しかし私はいつものように挨拶を返せなかった。
昨日、いつもの性格とはかけ離れている宮沢を見てしまったから。。
「おはよう…。」
私は小さく、しかししっかりと聞こえる声で宮沢に挨拶をした。
「先輩おはようございます!」
その後に続き佐藤も挨拶をしてくる。
この子は悪くない。ちゃんとそうわかっている。
でも今更佐藤の味方になる事もできない。
だから私は観覧者になる。
一番卑怯で居心地のいい観覧者に。
佐藤にも挨拶を返してさっさとユニフォームに着替え部室を出ていった。
- Re: Part.3 「敵、味方 そして観覧者」 ( No.52 )
- 日時: 2011/08/19 15:25
- 名前: ★AYA★ ◆cUMxI81o5. (ID: G3bbAK5P)
≪内田視点≫
今日は朝から気分が悪かった。
吐き気がしたので学校に行きたくなかったが、宮沢がまたなにかされたらと思うといてもたってもいられない…。
仕方なく朝練に向かい、佐藤の監視をする事にした。
宮沢がいじめられたら宮沢自身の事ももちろん心配になるが、尚且つ部、全体の空気などが変わってしまったら困る。
私は部長なんだから、そこらへんはしっかりしないと……
次に何かあったら本当に本気で佐藤を絞める。
殴ったり蹴ったりするのは当たり前。
だってこれは佐藤を立派な大人にする為の教育なんだから。
内田奈々子→敵
