ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第一章 平凡な日常にサヨウナラ ( No.32 )
- 日時: 2011/07/30 16:18
- 名前: 道化師 ◆tZ.06F0pSY (ID: OXTNPTt9)
- 参照: 2話前編です!後編はもう少し後にw
僕は携帯のふたを閉じると、壁に寄りかかり深く深呼吸した。
紅服の男に捕まったら殺される。
脱出の術が無い脱出ゲーム。
本当にこのゲームが行われているとしたら——————
それは脱出ゲームなんかじゃない、ただの殺人ゲームだ。
≪ 第二話 もう一人の参加者 ≫
Pururururururururu…
携帯電話が鳴ったのは、3度目となる。
携帯電話の着信音は、この暗闇に響く————僕は慌てて携帯電話を取り出した。
携帯電話の着信音で、紅服の男に見つかったら…僕もあの少女のように殺される。
惨殺された少女の死体。
忘れたくても忘れられない悲惨な姿。
僕の頭の中でその映像がフラッシュバックして、僕の指先は震えだしていた。
「…っ」
僕は意を決して携帯電話を開く。
すると表示されていたのは一人の少女の名前。
−新橋 真−
なっ————真!?
そう。
そこに表示されてある名前は、僕の知り合い。
僕の幼馴染で同じ学校のクラスメイトの名前だったんだ。
僕は名前を見た瞬間思わず嘆息し、すぐさま電話に出た。
「…もしもし!?真か?」
『あっ…ゆ、悠氏…?悠氏なんだよね!?』
だけど、その彼女の声を聞いて——ある事に気が付いた。
真の声がひどく…震えている。
「お前…どうしたんだよ?何かあったのか!?」
『悠氏…っ、今どこにいるの?』
何故か彼女は、僕の居場所を尋ねてきた。
まるで、僕に助けを求めるかのように————
…、
まさか…
まさか真—————
僕は思った。
いや、確信した。
「真…まさか今、学校にいるのか…?」
『えっ…?う、うん…そうみたい……』
—————…やっぱりか。
僕は軽く舌打ちをした。
一件目のメールの、“参加者の皆様”という言葉。
僕以外にもこのふざけたゲームの参加者とやらがいるだろうという事は確信していた。
けど、まさか幼馴染…身近な人物が、僕と同じ目に遭っているなんて…。
…、
と言う事は———真も2件目のメール…あの写真を見たのか…
「不正な脱出」をしようとして殺された少女。
今脱出しようとすれば、例の紅服の男に殺されると分ったから、きっと真は———外にいるはずの僕に助けを求めに来たんだ。
けど、僕も今…その学校にいる。
「真、今どこにいるんだ?僕も実は学校にいる」
『…!悠氏もじゃあ…`脱出ゲーム’に参加してるの?』
「うん…知らない間に、ね。
たぶん僕等のほかにも参加者はいると思うんだけど…とりあえずお前の所に行くよ。
今どこにいる?」
『…体育館の、倉庫の中に隠れてる…ねぇ、早く来て…?怖いよ…』
「うん、分った。すぐに行くから待っ—————」
と、その時だった。
カツ、
カツ、
カツン————…
暗闇の向こうから、足音が聞こえてきたのは。
「あ……」
『悠氏?どうしたの!?』
その時、僕は気が付いた。
———————紅服の、男が来た
「ッ!!」
それを察知すると、僕は携帯を切ってポケットに押し込み駆けだした。
足音も、それに合わせて走り出す。
振り返らない。
振り返りたくない。
殺される。
紅服の男に捕まったら、僕は——————!!
「真…!」
心臓の鼓動が加速する。
僕はもう————捕まるのか!?
———グンッ
その時誰かが、僕の手を引いた。