ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鏡の国の君を捜して ( No.108 )
- 日時: 2012/01/05 23:59
- 名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)
そうこうしているうちにストリートに到着した。
「ヤマネさん! 僕の身体返してください!」
「ああ、久しぶりにウォーキングしたかっただけだからな」
肩に乗せていたねずみは、ヤマネ本体に戻った。
「ストリート、久しぶりだわぁ」
あたしの働いていた時計屋もここにあるんだよなぁ。
「確か向こうにエミリーさんの家があるんだ! サイン、もらいにいこう…。師匠っ僕、エミリーさんにあってきます!」
「そうか。オレ達は先にハートの王国に向かってるぞ」
なんとなく、あたしはノエルみたいに、「あこがれる人」て言うのは出来ないだろうなと思った。
「ノエル、私も一緒に行っていい?」
なんと、レイシーがノエルとともにエミリーに会いに行きたいと。青春のしてるねー。
「ヒューヒュー。2人でデートかぃ?」
て、言ってみたけど、見事にスルーされた。青春の馬鹿やろう。
上手く言った。ノエルと2人っきりになることに成功した。
あ、別に好きなわけではないよ?(誰に話しかけてる、私!)
「いよう! 帽子屋んとこの弟子! 彼女とデートかい? 羨ましいねぇ! 死ねリア充」
酒屋のおじさんが話しかけてきた。そっか。鏡の国に帽子屋ってあそこくらいしかないから、有名なのかぁ。
じゃあ今、こうやって仕事サボってたら、もっと駄目じゃないか。
「彼女じゃないです、友達です! しかも死ねリア充って言いましたよね!?」
ノエルは、正確もいいしあんな変人とまともに会話が出来るからか、有名かつ、人気らしい。
「あらぁ、ノエル君。青春っていいわねー」
今度はパン屋のおばさんが話しかけてきた。
「違いますから!」
ウム、今がチャンスだろう。
「ノエル、本物のリア充にならない?」
「レレレレイシー、なに言ってるの…」
そんなノエルとレイシーを物陰からひっそりと見る目が合った。そんなことは誰も気付かなかった。
「ヒューヒュー! お暑いね!」
「うわあ! やめてください!」
ついにノエルは逃げ出した。結構足が早く、追いかけるのは苦労した。
さらにその二人をつけてくる人影があった事を、そこにいる人たちは気付かなかった。
少しつつ、確実に近づいてきていた。それは、足音に気が付いた時は、もう遅い。
「ノエル君、ワタシはあなたのことを、「アイ」しているのよ…」
「ノエル、待って! ゴメン、なんかゴメン! 反省しているから、止まって!」
何とか追いついて、一息ついた。ノエルが逃げ込んだ所は、人目に付かない建物と建物の間。
「レイシー…ぼくが師匠に殺されたらどうするの…。今年のバレンタインデー、チョコをもらえなかった師匠が、女性にモテないことを僻んで、僕を殺そうとしたら!」
「…ごめん」
ひたひたと、何者かがすぐ近くまで来ていた。そのことには誰も気が付かない。
「後、10歩……9歩……8歩……7歩……6歩…」
そういえば、キルとノエルはどうやってであったのだろうか。もっと気になるのは、どうしてノエルはキルの弟子なんだろう。
「はあ、早くエミリーさんの家に行こうか…」
「うん」
ひた、ひた、ひた、ひた、ひたひた、ひた、ひた、ひた、ひた。
「なぜワタシ以外の女といるの。ユルセナイ」
ひた、ひた、ひたひた、ひた、ひた、ひた、ひたひた、ひた、ひた、ひた、ひたひた。
「邪魔するヤツは」
ひた、ひた、ひた、ひたひた、ひた、ひた、ひた、ひたひた、ひた、ひたひたひた、ひた、ひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひた。
「コロス」
ひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひたひた。