ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 鏡の国の君を捜して ( No.117 )
日時: 2012/01/05 07:59
名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)

 突然の出来事に戸惑った。誰だこの、斧持ってる怪しい人! 声的には女性っぽいけど

「……シはあなたの事、…して……してる…してる。…のに、……して……を置いていっ…?」

 ノエルのほうを見つめながら、なんか問いかけている。ぼそぼそ言っていて、ほぼ聞こえない。

「…タシのこと、覚えてる?」

「だれですか?」

 軽くにらみながら答えるノエル。

「…タシだよ、…時の。……は、嘘なの? ノエルくん」

 なんか見つめ合ってる怪しい女性とノエル。既に私は空気状態。

 やたら長い間があって、怪しい女性が斧を振り上げる。

「……してる…してる…。だから、コロしていい?」

 ヤバイ。ノエルが殺される。

 助けないとだ。

 だけど、ワタシが走り出したときには遅かった。

 既に、不振女の斧は振りかざされていて、それをキセキ的に白羽取りしているノエルの姿があった。

「…また、会いにく…から」

 そういい残して去っていった怪しい女。

 なぜか怨まれて、なぜか殺されかけて、しかも「また会おうぜ!」と言い残されて、ゲッソリしているノエル。

 とりあえず、励まそうか。

「ドントマインド、ノエル」

「……ハァァァァァァァァァァァァァァァァッァ」

 青ざめた顔で無駄に長いため息をつく。

「レイシー、僕前にもあの人に会った。そのときも、斧振り回してた、あの人」

「そういう大会のチャンピオンなんじゃないかな?」

 斧を振り回す大会なんて、聞いた事も想像した事も無いけどね。大体、どんなイマジネーションあっても想像できないわ。

 でも、オリンピックの競技で鉄の球を振り回して、投げ飛ばす競技はあった。

「僕、師匠くらいの歳になるまで、生きていけるかな?」

「大丈夫大丈夫。人はゴキブリ並みにしぶといって誰かが言ってた」

 確か、チェシャ猫か誰か。もう答えでてるね。

「案外アッサリ死ぬよ。殺人経験者だからわかる」

 「こう、首にグサッとね」と、真顔で語るノエル。

「また、あの人に襲われたら今度こそ死んじゃいそうだから、師匠たちと合流しよう」

 あ、自分の命を優先した。ずっと会いたがってたエミリーさんよりも。

 じゃあ、これからは小説に登場できないだろうな、エミリーさん。サヨナラ、顔もすしぬ少女よ。(少女かどうかも定かでない)


 Ⅳ 【 L'esclave qui a jeté demain   〜明日を捨てた奴隷〜】  完