ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 鏡の国の君を捜して ( No.171 )
日時: 2012/02/01 21:26
名前: クリスタル (ID: 3Em.n4Yo)

 今朝は酷い目にあった。

 付き合っても無いのに(て、言うか、一歩間違えればガールズラブだ)「浮気だ!」なんていわれた。

 アリスは壊れ始めている。いつからだか判らないけど。確実に。

 都合の悪い記憶を脳内から消し去るという、都合のいい技を見に付けたようだが、一時的なものらしい。

 レイシーのことについては、いつまで忘れてくれるだろうか。できる事なら、このままずっと……脳内からチリも残さず消し去って欲しい。

 そうすれば、きっと何も起こらないで済むはずだ。そう願いたい。

 まあ、どうせ無理なんだけど。

「ねえぇ、チェシャァー。外にストーカーがいて、出られないぃ」

「すとーかー? なんで?」

 アリスは、人と係るのが嫌いで、誰とも係らないはずなのに。どこでストーカーされる原因が出来たんだろう。

「ねえ、本当にストーカーなんてされてるの?」

「私が嘘をつくとでも? そんな、くだらないことしないわぁ。ないわぁー。ないですわぁー」

 まあ、確かにくだらない嘘だね。うん。

「何時から? どこでストーカーされる原因を作ったの?」

 大体、アリスはあまり外出もしないのにな。

「多分、庭の花に水をあげている時。あ、殺していいかな?」

「良い訳ないでしょ。僕が追い払ってあげるよ。そのついでにストリートに行ってくる」

「うん。行ってらっしゃいー」


 窓から外に出ると、確かにいた。レースだらけのブーケを片手に。ストーカーが。

 僕がいるのに気が付くと、静かに歩み寄ってきた。

 待て、ブーケに使われている花がラフレシアってなんだ。本当に女子にあげる為のブーケなのか?

 しかも、金はもってそうだけど、顔が残念だ。きっと神様が、適当に余っていたパーツをくっつけたんだ。哀れな。ご愁傷様です。

「あの、僕…実は……」

 モジモジするなよ、気持ち悪い。

「帰ってください。迷惑です」

「あなたに一目ぼれしたんです!」

 僕のストーカーかよ!

「ぼ、ぼ、ぼく、ぼ? ぼぇ、ぼ」

 動揺した。引いた。あ、吐きそう。

「僕の気持ち、受け取ってくれ!」

「………………………………………」

 どっちから好かれても、僕の場合は同性愛みたいになるんだね。生きてる事が悲しい。一生、恋愛できない。(別にいいけど)

 無視して、ストリートに向かう事にした。

 そうだ、最初から無視すればよかったんだ。あいつは空気だ。空気の塊だ。さようなら、空気の塊。



 普通ならユニコーンに乗っても随分時間が掛かるけど、ホラ、僕は猫だから。全力疾走すれば30分でストリートに着く。

 かなりハードな運動だった。30分、全力で走るなんて。

 そこで僕は恐ろしいものを見た。