ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 鏡の国の君を捜して ( No.30 )
日時: 2011/10/16 09:55
名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)

「どうしたんですか、エリーゼさん」

「あ、いやいや、気にしないで。あ、あれじゃない?」

 エリーゼさんが指差す方向には、ふつうの木。青いリボンなんて、どこにも無い。

「ゴメン、見間違いだった」

「そうですか……」

 違う、今のはわざとだ。私の名前について関係のあることを知ってるんだ。 でも、確かめようが無い。聞いた所で、無駄だろう。

「あ、もしかしてあれじゃないですか?」

 知らない人の家の庭に、青いリボンは、落ちていた。

 エリーゼさんは、何のためらいも無く、庭に入り、リボンを拾った。

「ああ、間違いなく私のだ♪」

「エリーゼ! エリーゼなのかい!?」

 家の人が出てきてしまった。誰も、起きてないような、早朝のはずが。

 家の人は、エリーゼさんに近寄った。

「エリーゼ、会いにきてくれたんだね。お母さん、嬉しいわ」

 しかも、エリーゼさんのお母さんだった。どうするんだろう、エリーゼさん………。

「…お母さん、会えて嬉しい。ちゃんとしたお別れがいえなかったから、会いに来たの」

 演技?

「さようなら、大切なお母さん」

 そういってエリーゼさんは、逃げ出した。幽霊なら消える所を、全力ダッシュで逃げた。

「走るよ! レイシー!!」

 無理やり走らされた。どこへ向かっているのか、不明。


 たどり着いた場所は、私の家。

「ありがとう、レイシー。また会えるといいわね」

 私的には、こんな騒がしい人には、もう会いたくないけど。確かにいい人だけど、暴力ふってくるし。

「楽しかったです、エリーゼさん」

 本当は、そんなに楽しくなかったけれど。

「じゃあね、レイシー」

「サヨナラ、エリーゼさん」


 I 【Un visiteur blanc comme neige    〜雪のように白い訪問者〜 】   完