ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鏡の国の君を捜して ( No.46 )
- 日時: 2011/08/28 23:35
- 名前: クリスタル (ID: d9npfmd5)
チェシャと名乗る変態猫が起こってじだんだを踏む。子供っぽいな。その間に庭へ全速力で走る。霧に包まれ、何も見えない。
「ふがっ」
霧に包まれて、見えなかったけど、透明のガラスの様な壁があった。全速力で走り、ぶつかったので顔面が痛い。
「僕から逃げるなんて、無駄なことだよ」
チェシャが、刀を振り下ろす。それを、何とか斧で防ぐ。チェシャの力は、想像より強くて斧で支えていられず、斧を落としてしまった。
「バイバイ、レイシー。もう会えないといいね」
鈍い音がいて、目の前が真っ白になった。いや、真っ赤ならわかるけど、白って。何の痛みも感じずに天国へ!?
「ああ、また邪魔をしてくれたね? この、クズウサギが! ウザいよ、本当に。今すぐ死んでよ」
「あたし、チェシャきゅんにウザがられるの、大好き☆」
「本当に逝ってよ………」
顔を上げると、真っ白のドレスのエリーゼさんが、左手で素手で刀を受け止めていた。手に食い込む、小刀。白いドレスには、赤い点がいくつも撥ねていた。
「エリーゼさん、助けてく」
「助けてない。チェシャの邪魔をしただけ」
そういうのを、ツンデレって言うんですよ。そう言いたかったけれど、何されるかわからないので、やめておいた。
「そうだ。レイシーに伝えたい事が会ったんだ。あなたに、鏡の国へきてほしい」
そういった瞬間、チェシャがさらにエリーゼさんの手に、小刀を食い込ませた。
「腹黒ウサギ! アリスが、レイシーを見たら、アリスは———」
「アリスアリスって、うっせーよ、クソ猫があああ!!!」
驚いて、レイシーもチェシャも、黙ってしまった。
「アリスが居ねぇと、何にもできねぇのかぁ!!?」
「不良ウサギ……」
チェシャの呟きに、私も同意見。エリーゼさん美人なのに、不良みたいだ………。
「さて、レイシー。あなたの家の鏡は、どこ?」
さっきまで殺意のこもった声で怒鳴ってたくせに……今は、満面の笑みだ。怖い。
「……あ、あっち…」
無理やり私の腕を引っ張りながら、土足で家に入り、リビングの姿鏡の前まで着たエリーゼさん。
「エリーゼさん、靴は脱いでくださいよ。私の家、なんだと思ってるんですか」
「だまれ」
「………ごめんなさい」
そういえば、さっき怪我した左手は、大丈夫なのだろうか? まだ、血が滴ってる。