ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鏡の国の君を捜して ( No.54 )
- 日時: 2011/10/05 19:42
- 名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
「そんな事よりさぁ、お客が着たら、精一杯もてなすのが普通じゃないの?」
「フン。誰が客だ。レイシーはともかくお前は、ただの———」
「その先を言った場合は、あたしがクソ猫を殺り、鍛えたこの左ストレートが炸裂するかもしれない」
その左手は、重症のはずだが。隣にいるマッドハッターの弟子が「やれ! やってください、シロウサギさん! Go!」と、小声で言っていた。私は、何か良からぬものが溜まっているのだと思いました。まる。
「まあ、仕方ない。もてなしてやろう」
マッドハッターがかぶっていた無駄におされな帽子をはずした。そして次の瞬間、物理的にありえないサイズのガーデンチェアが3脚出てきた。
「何で3脚? あたしとレイシーと、」
「違う。俺とノエルとレイシーだ」
エリーゼさんの左ストレート、炸裂。が、帽子の中からフライパンが出てきて、ガード。
流石はエリーゼさん。フライパンに穴が。
「お前、女じゃないだろ」
「さあ、どうでしょうねぇ?」
「まあ、どうでもいいか」と、つぶやいて物理的にありえないサイズのガーデンテーブル…では無く、ちゃぶ台が出てきた。
「イカレ帽子屋! 何でここでちゃぶ台なのよ! デスマッチでしょ!」
「シロウサギさん、ミスマッチですよ。デスマッチて……何と戦う気ですか」
「うるさい! 死にたくなかったら黙ってろ!」
弟子が次に口を開いたら殺される……。それにしても、なぜにちゃぶ台。
次に、ポポポポーンと、ティーカップとやかんが出てきた。あ、ティーカップに何か書いてある。『シリアスダークにしては、明るいお話★』。何を意味するのかは不明だ。
さらに、可愛いクッキーやビスケットも出てきた。ついでに『ウナギ飴』と、言うものも。
ミスマッチな和と洋。ちゃぶ台の上でお互いのよさの殺し合い。なるほど、デスマッチ。
次の瞬間、エリーゼさんに寄って、ちゃぶ台がひっくり返された。
「ああ、すごい! こういうの、テレビで見たこと有る!」
昭和の日本で、雷親父がちゃぶ台をひっくり返す光景。本当にあったんだぁ。ひっくり返したのは雷親父を超える鬼ウサギだけど。
「ふざけんのも体外にしなさい! もういい! 勝手にキル秘蔵のワイン飲んじゃうからっ」
「そ…そんなものはないが?」
「あたし、しってるよ? 確か屋根裏部屋に……」
怒って、帽子屋の小屋へ行ってしまったエリーゼさん。エリーゼさんの人間バージョンの姿はどう見ても未成年のはずだけど?
「キルさん、ウナギ飴って美味しいのかな?」
「やめて置け。死ぬほどまずい…。あ、ウサギに話し聞くの忘れた」
そういってキルさんも小屋へ戻っていった。