ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 鏡の国の君を捜して ( No.59 )
日時: 2011/10/05 19:41
名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)


「話って、なんだろう……?」

 そっとつぶやいた私に、キルの弟子が空気の読めない質問をする。

「レイシーさんは、アリスさんの姉妹なん…ですよね?」

 どうして、こんなに空気が読めないんだ、この子。もしくは、私の話を聞いてなかったのか。 どちらにせよ、私の話を聞かないとはいい度胸だ。後で懲らしめてやる。

「…ねぇ、アリスって誰なの? 私はアリスなんて知人、1人もいないんだけど……。ついでに私の事は、レイシーでいいわ」

 キルの弟子がきょとんとしている。そういえば、こいつの名前、知らないな。さっきはノエルって呼ばれていたかな? ノエルって名前、女子っぽいな。可愛い。

「そんなにそっくりなのに、血の繋がりが無いんですか…あ、本当はあるけど、記憶障害とかですか?

「あんた、本当に空気読めないね。もしもあたしが記憶障害だったら、結構傷つく台詞なんだけど。大体、最初の私の質問に答えなさいよ! 『話って、なんだろう……?』て、質問!」

 ノエルが「どの話の事について質問してるんだろう…」という表情になる。空気読めない上に鈍い。ああ、殴りたい。

「スイマセン。本当はわかってました。師匠の言っていたことと、さっきの質問」

「じゃあ、どうしてわざとボケたの。あ、そんなに私が嫌い!? 嫌いで嫌いで仕方が無いから、わざと嫌がらせしたのね! 人間失格だっ」

 わざと被害妄想する。私をこんなにイライラさせてくれたお返し★ 本当は、もっと酷い目にあわせてやろうと思ったけど。そう、生まれてきた事を後悔するくらいの。ヒヒヒ…。

「そんな…レイシーの事、嫌いになったりしませんよ…ステキな人ですし。師匠の言っていたことは、レイシーには話せません。すみません」

 素直に謝られた。しかも若干萌える事をいわれた。直球で予想外の事が起きて、何も言えなくなる。な、何でこんなことに。

「………………」

「えっと、レイシーは、あっちの世界から来たのなら、早く戻らないと大変な事になっちゃうと思うんですが……」

 『大変な事』。良く分からない事を言うし、空気読まないし、若干萌える事いうし、なんなんだろう、ノエルって。

「『大変な事』て、なによ?」

「…その…」

 ハッキリしないやつだ。くどい。










「あっちの世界の人がここの世界に1週間以上いると、バラバラになって、消えちゃうんです」





 頭が一瞬だけ、真っ白になった。

「え…!? 私、エリーゼさんにつれられてここに着たのに…『あなたに、鏡の国へきてほしい』って行って連れてこられたのに…エリーゼさんは、何のために私をここに連れてきたっていうの? 私を殺すためだったとでもいうの!?」