ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鏡の国の君を捜して ( No.73 )
- 日時: 2011/10/30 19:20
- 名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)
「逃げろと言われたは言いが、遠くに逃げすぎて迷子になっている自分がここに居る」
私、何をしてるんだろう。
暗い暗い真夜中の森の中、正直言うと、眠い。これはあれだな。睡魔VS私の見えない敵との戦いだな。
と、言っても既に私の敗北が決まっているけれど。私はその辺の茂みにもぐりこみ、眠りに付く。
「おやすみぃー」
………………………………………いやいやいや、何してるんだ、私。ノエルとチェシャが(もやしと猫でも可)が戦っているというのに、命を狙われている私自身がこんな所で寝ていていいのか。
「……逃げよう」
今の私にできる事は、逃げる事だけなんだ。
迷子になったまま、どこへ向かうでも無く歩いていると、一軒の小屋が見えてきた。そして、倒れた大木。と、争う2人の人影……。
なにこれ? デジャビュ?
あれ、どう見たってノエルとチェシャじゃん。戻ってきちゃった。
とりあえず、倒れた大木の陰から様子を見た。
「ノエル…」
蹴っ飛ばされるノエルが見えた。
「ハァ、ハァ……本当にゴキブリ並みにしぶとい…」
「それ、師匠に…言ってください」
「暇があったら」
そんな2人の会話まではっきり聞こえる。
チェシャがその辺に落ちていた大きめの石を振り上げる。あれで殴られたらノエルは死ぬ。
「帽子屋の弟子、最期に聞くけど…」
チェシャが、内気っぽいチェシャが話しかけてるよ。
「どうぞ」
「この事件の終わりってなんだろう…」
30秒ほどの沈黙。森の闇がさらに静けさを益す。
「この事件って?」
「…いや、お前に聞いたのが間違いだった」
「ははは。役に立て無くてごめんなさい」
チェシャがノエルをにらみつける。一瞬、私の存在に気が付いたのかと思って身構えた。
「お前、殺されそうになってんのに笑って。気持ちが悪い」
「毎日師匠に殺されそうなデンジャラスライフを送ってるからですかね?」