ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鏡の国の君を捜して ( No.92 )
- 日時: 2011/12/10 10:11
- 名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)
伝えなくてはならないこと……も、もしや!
「告白!? やだ、人生初だわ、こんな年上の人に告白されるの! てか、告白自体初めてだけど。いいよ! キルさんイケメンだから!」
次の瞬間、キルさんの蹴りが炸裂した。
「師匠! こんな年下に告白なんて…ロリコンだったんですか!? しかも、照れ隠しに蹴っ飛ばすなんて! 暴力的な男はモテないんですよ!」
ついでにノエルも蹴り飛ばされた。
「師匠が、ロリコン…ロリコン…」
「キルさんが、私に告白…告白…」
「ふざけるな。誰がロリコンだ。その髪、剥ぎ取るぞ」
なぜかたたき起こされて小屋の前に集合させられたレイシーとノエルとあたし。
「キル、あんたロリコンだったの? じゃあ、もっと若い屍に取り付けばよかった。ゴメンね、あんたと同い年の子に取り付いちゃって」
バキッッゴンッゴンッと、3連発の鈍い音。
3人して同じ所にタンコブを作る事になるとは。若干一名タンコブではなく、致命傷を作らされた奴が居るけど。
「で、何で朝っぱらからこんな所に集合させたの?」
「エリーゼさん、もう昼ですよ」
キルが帽子の中からアン○ンマンのフィギュアを取り出した。
「おっと、間違えた」
そういってアン○ンマンのフィギュアを仕舞って、ジャパンの刀を取り出した。
「サラバだ、ノエル」
さっきバキッッて音が出るくらい強く殴ったうえにジャパンの刀でキルなんて。と、思ったけど止めなかった。
キルのやりたいことなんだし、やりたいようにさせておこう。
「まって、キルさん! ノエルの事、殺さないで!」
「殺したりはしない。ハゲにするんだ」
ツルッパゲノエルを想像して、思わず吹いた。
「て言うか、早く本題に入ってくださいよ」
「ああ。そういえばそうだな」
と、言うわけで閑話休題。それにしても大変だな、ノエル。チェシャに殺されかけ、キルに殺されかけ。七転八倒? 四苦八苦?
「レイシーに言わなければならないことについてだ」
「——アリスのこと?」
キルが黙ってうなずく。
あたしもレイシーと同じ事予想していたけど、やっぱりその件ね。
「7年前——この鏡の世界で、アリスの父親が何者かに殺害された。それからアリスは全くの別人のように代わった。と、いうのはウサギも知っているな?」
何であたしに振る。まあいいか。
「もちろん。それで、アリスのおかしくなった原因がレイシーのいた世界にあるんじゃないかと思って、7年間調べた」
「何で私のいた世界に原因が有ると思ったんですか、エリーゼさん」
こいつ、意外といい質問するなぁ。事前の打ち合わせも無いのに。以心伝心ってやつか。
「アリスはね、鏡の国の男と、あっちの世界から来た女の娘。アリスは双子だったらしいの。アリスは父親と鏡の国に住み、もう一人は母親と、あっちの世界に住んだらしい」
その続きはキルが話してくれた。
「そのアリスの双子で、あっちの世界に住んでいた鏡の国の住人。その名前が————」
「ジェイコム君」
「誰やねん!」
「間違えた、レイシーだ」
「もういいよ! 予想できてたから!」
Ⅲ 【Un chat noir solitaire 〜孤独な黒猫〜】 完