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狂いⅡ


ビュッ！！

ズシャッ！！

風と肉を切り裂いた音が聞こえた

なんだ？

突然のことで何が起きているのか分からない

智羽が持っていた刀にはべっとりと血が付いている

そしてなんか腕が痛い・・・

右腕を見るとものすごく深い切り傷がついてあり血がこれでもかとふきだしてる

「はぁはぁははっはははははあああああ！！」

智羽の気持ち悪い叫びとも笑いとも取れる声がしてる

でも今は傷をなんとかしないと・・・

膝から崩れるように座り込み傷を抑える

鍵のことでこんなことはしないだろう

智羽が俺に切りかかるなんておかしい

狂ってる。智羽は狂ってる！！

カチャ

刀を構えなおした音がする

智羽を見上げると刀を頭の上に持ち上げてた

それで上から真っ二つに俺を切り裂くのか・・・

残忍な笑みを浮かべた智羽の瞳には恐怖で目を見開いた自分が映っていた

なんて哀れな表情をしてるんだ・・・今ここで殺されてもしかたないかもしれない

智羽の刀がスローモーションで降りてくるように見えた

あぁ、俺は死ぬんだ友達に切られて・・・

ゆっくりと弧を描いて降りてくる刃がキラリと光る

その光を見た時だった。俺の心にも生きる光が差し込んだのだ

ここで死んだら・・・悔いが残る！！

まだ！！まだ死ねない！！

智羽の刃はまだ俺の頭から５０センチは離れてる

避けれる！！死の刃から避けることができる

「スカイダイビングやってないのに・・・死ねるかぁぁぁ！！」

変なことを口走りながら俺は智羽の刀をギリギリでかわす

刀はいきよいがついていたため俺の横を通り過ぎ道場の床につきささった

今なら逃げれる！！狂った智羽から逃げれる！！

俺は智羽に体当たりし、床に押し倒すと狂った智羽に背を向けて走って逃げた

一度も智羽の方を、道場の方を振り返らず家の方へ全速力で走って帰る

俺は狂った親友を見捨てて逃げたのだ