ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 九十九怪談 第一回【合わせ鏡】 ( No.5 )
日時: 2011/08/14 13:51
名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)

 
 第二話【合わせ鏡】





爺ちゃんがいた小学校では、ある事が流行っていたんだって。

「合わせ鏡」って知っているよね。

午前2時、合わせ鏡を見ると、将来の自分が見えるらしい。

爺ちゃんは夜2時に起きることが怖くてやらなかったって言ってた。

でも爺ちゃんの友達はやったんだって。「止めとけ」って言ったんだけ

どね。ほんと、爺ちゃんの言う事聞いとけばよかったのに。



 ◆


学校の授業の終わりのチャイムが鳴った。

すべての教科が終了し、給食、掃除も終え、一斉に生徒たちが昇降口に

溢れる。

そんな中、大野博(語り手の祖父)と中野貴志は教室に残っていた。

ランドセルを教室の机の上に置き、人がいない事を確認して、中野は

話し始めた。

「おい、『合わせ鏡』って知ってるよな?」

「そりゃあ、知ってるよ。何故か知らないけど急に流行ったよな」

「そういうのが流行って言うんだよ」

「そうだな……で?何なの?」

大野が聞いたところで中野がにやりと笑う。大野は嫌な予感がした。

中野は何か企んでいる時にこういう顔をする。

大野は顔をしかめた。

「まさか、それをやろうって言うんじゃ……」

「当たり。ほら、この学校の三階の奥の部屋に三面鏡が確かあったはず

だ。今日、やろうかなって思ってるんだよ。親の了解なんていらねぇよ

よ。すぐ帰って来るんだから。校門は閉まっているだろうから、登れば

いい。ちょうど、今日の2時は先生が回るから教室は開いてるよ」

よくペラペラと喋るものだ。

「俺は嫌だよ」

「は?」

今度は中野が顔をしかめた。

 

 一旦切ります