ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 【生死ぷろじぇくと】 極彩色硝子 【ステンドグラス】 ( No.18 )
- 日時: 2011/08/19 14:38
- 名前: 生死騎士 (ID: mk2uRK9M)
- 参照: http://w5.oekakibbs.com/bbs/oe-kakiko2/oekakibbs.cgi
アスティーニ国の生徒および教師に召集令がかかった、同時刻。
サウロ国の生徒三人は他の国より一足先に、集合場所である「魔源堂」に来ていた。
「魔源堂」というのは、丁度五国それぞれが面しており、その魔力の源とも言える「あるもの」が何十にも張り巡らされた結界に守られている、いわば神聖そのものの場所。
その周辺には膨大な魔力が溢れており、魔法を使わぬものには近づくだけでその気に触れ、ただでは済まないと言われている。
そんな危険な地に、三人は立っていた。
「やっぱここ来ると魔力回復のスピードが半端じゃねーな。」
目の前に聳え立つ巨大な岩壁を睨みつける、巨大な弓を携える少年。
彼こそがサウロ国の軍事学校の首席、ユン・ティグ。
彼の使う魔法は闇と光。
本来ならばこの二つを両立して使うことはおろか、体内に同時に魔力を保つことすらできない。
互いの魔力が反発しあい、やがて術者の命を滅ぼすことになる。
しかし彼はその魔法を両方、生まれながらに習得していたのだ。
これが彼の首席たる所以である。
その後ろに立つのは、長いスカートを風に揺らしながら毒草の本をめくるリナリア・ブルーノと、自身の魔法である雷を手の上でバチバチさせて遊んでいるフォン・ファ・オゥ。
一見したところ、男性であるのはユンのみで他二人は女性、ユンにとっては居心地が悪いのではないか・・・。
そう思われがちであるのだが。
「なぁ、ほかの国が来るまでなんかしよーぜ。」
馴れ馴れしく二人に話しかける様子では、ユンは女性に対してかなりの耐性があると思われる。
と、そこに。
「あれ〜?もう他国の方がいらっしゃる〜?」
額に手をあてこちらを伺う、少女乱入。
その服装から伺える彼女の国名をリナリアが呟く。
「もしかして・・・狗国の方たちかしら?」
フォンも遊ぶのを止め、少女の後ろから追うようにやって来た二人を見据えた。
一人は重そうな大剣を背負い、もう一人は腰に刀を帯刀している。
その帯刀してる方の少年が、前に歩み出てきたユンに声をかけた。
「久しいな、ユン。」
短い言葉だったが、ユンは歯を見せて笑った。
「おう。相変わらずだな、王理。」