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Re: 【生死ぷろじぇくと】 極彩色硝子 【ステンドグラス】 ( No.4 )
日時: 2011/08/07 14:39
名前: 生死騎士 (ID: mk2uRK9M)
参照: さっさとくたばりやがれ、PTAww



大木の枝を蹴ると、赤毛の少年は地面に降り立つ。
先ほどの焦りからは打って変わって、その着地の様は『美しかった』。
特に変わった着地でもなく、しかしその身体から溢れる『何か』がネウロの目を釘付けにし、美しいと思わせていた。

近くで見ると、少年の髪は一筋に「赤」なわけではなく、少し茶が混じった赤茶色をしていた。
赤い色素の方が多いから、赤一色に見えたのだろう。

少年は真正面からネウロを見ると、特に警戒するでもなく、

「はじめまして、だよね?」

と右手を差し出してくる。
もちろん軍事学校に通うネウロがその手を取るはずも無い。
その代わり、細心の注意と射抜くような冷たい視線を送る。

「誰だ、あんた。ここは大森林の中でも俺しか来ないような秘境だ。部外者がいることはほとんどあり得ない。」

「ああ、知ってるよ。」

今度はこちらが動揺する番だった。

「何・・・?」

もしかして敵国のスパイか?
という考えが、ネウロの脳裏をよぎる。
その思考を悟ってか、赤毛の少年は差し出した手をひらひらと振りながら。

「こりゃ自己紹介した方が早いかな・・・」

ため息一つ吐く。
そしてその手で自分を指差した。

「俺はパン・パリゼット。レンデ国の魔道軍事学校の・・・自分でいうのもなんだけど、首席生徒なんだよねー」

得意げに胸をはりながら、名を名乗る。

「首席」と言っても、彼の身なりは(性格もだが)どちらかというと「不良」のそれである。

「前髪ピンで留めてて、かなり服着崩してて、シルバーのアクセサリー着けてる、あんたが首席なのか?」

ネウロはごもっともな意見を出すが、それでも。
彼の放つ『何か』は、彼が首席だと──人間として途轍もない『力』をもった存在だと証明しているようなものだった。

それにレンデ国ならば、メーゲ国と魔道五国の同盟を結ぶ仲だから危険には及ばないはずだ。
ネウロはやっと警戒を解く。

とりあえず最低限の礼儀として、こちら側も名乗ったほうがいい。

「僕は・・・「知ってるよ。」

ネウロが名乗る前にパンが口を挿んだ。

「は?」

「君の名前はネウロ。メーゲの軍事学校の奴・・・でしょ?」

「!!」

「それに君の魔法は・・・」

初対面の相手に名前と所属を当てられた。
武器を構えるには十分だった。

「ちょ・・・待ってって!!?」

「僕に何の用だ?」

パンが再び慌てる。

「誤解しないでよ!!俺は敵じゃないってば!!」

「嘘つくな」

ネウロの凄まじい気迫に、パンが一歩後退する。

「俺は君に用があって来たんだよ!」

「何だ」



「君が君んトコのチームメイトに呼び出しかけられてるから呼びに来た。」


「・・・は?」





                 序章 完