ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 殺人鬼が哂う夜。 ( No.3 )
日時: 2011/08/09 19:27
名前: 水蓮 ◆icIM9e/cy2 (ID: NhY/JZtF)



 ——#01—



 「……お前等は殺人鬼…信じてんの?」



 暗闇に響く、低い声音。心臓に突き刺さりそうに冷たい声で。



 人影は十人、いや二十人は超えているだろうか。



 大半の人影は金髪やピアスをしていて、皆背も高い。



 簡単に言って不良という輪の中に、先程聞こえた声の持ち主が居た。



 彼は……、血に飢えた殺人鬼だ…。



 「またその質問かぁ??話しそらしても、許さないよぉ??僕ぅ?」



 「……殺人鬼は、居るさ。あぁ居るね…。」



 「こいつ頭パァ?うちらと話噛み合ってこねぇんですけど。」



 不良達はゲラゲラと品のない笑いを漏らす。



 あぁ…。しまったな…。と殺人鬼は思う。



 今回の人間も…不合格…だと…。



 「おやおや?喋らなくなった??今頃怖くなりまちたか??」



 「……はぁぁ。期待外れ。お前等、不合格…全員。」



 殺人鬼が宙に浮いた。いや持ち上げられたのだ。



 集団一力が有り余っていそうな男に。



 「お前さ、調子乗ってんなよ??ガキンチョのくせにさ。」



 「……低レベルの言葉を吐く馬鹿共に、言われたくねぇし。」



 「……女を殴る趣味は…ねぇんだけどな!!」



 片方の腕を振り上げ、不良は殴りかかった。







 あぁ…ご愁傷様……。人間風情め…。



 殺人鬼は……冷たく哂った。







 「……、あぁ!?。ぎぇぁ!!」



 不良は変な声を上げながらのたれ回る。



 掴んでいた手と殴ろうとした腕と手首は…ぱっくり離されていた。



 「……僕は葵。血を求める…。つう訳で…全員死んでくんない??」



 殺人鬼、葵は…手に妖刀を持ち、不良の塊に近づいてくる。



 凍った目で、不良を見下しながら……こう呟き…不良を地獄に落とした。



 「僕……、男だし。間違えるとか…お前等クズ…。」




 男の死に声が四方八方に響き渡り



 裏路地には、紅い紅い血の雨が降り注いだ。





 深紅に色づく満月の夜を、葵は颯爽と走る。



 死体の塊は業者に任せた。あんなもの触りたくも無い。



 そんな事をぶつぶつ思いながら



 心底つまらなそうな顔をして走る…。



 「予想以上に最悪な血……。不良から卒業するか…。



 けど……近づいては居る…うん、近づいてる。



 もっと最高な血を……捜してやるさ……。血…血…。」









 殺人鬼、紫霧野 葵。



 人間の血を好み、人間を好み……。



 最高の…血を捜し求める殺人鬼。