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Re: 死神は君臨する ( No.129 )
日時: 2011/10/02 16:22
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: Pmy7uzC3)
参照: 由羽s、ありがとうございます!

番外編Ⅰ「学校」(四分の一)

 これは、惨劇が始まる7月14日木曜日より一か月前の、6月13日月曜日の出来事である。
 あの四人の少女が住む桐ケ谷市緑区にも、いつもの朝がやってきた。前日まで降り続いていた雨は止み、空からはうっすらと光が射し込んでいる。湿気をたっぷり含んだ空気が漂っていて、昼間とは打って変わって清々しい。嘘のように静かな街に、目覚まし時計の音が小さく鳴り響く。
「…むにゃッ!?」
 その目覚まし時計の持ち主は飛び上がり、そのままの格好で硬直した。可愛らしい時計から発せられる甲高い音は、途切れることなく鳴り続ける。
「レイカちゃん…自分で目覚まし時計をセットしたんだから、ちゃんと止めてね」
「むにゃぁ」
隣で眠っていたさわ子が起き上がり、レイカに声をかけてから目覚まし時計を止めた。音がふっと途切れる。寝室にまた、静寂が訪れた。レイカは倒れるようにして二度寝の姿勢に入ろうとしたが、目を爛々と光らせたさわ子に強制的に起こされた。
「レイカちゃん、今日は学校よ。起きなきゃだめでしょ?」
さわ子の有無を言わさぬ声に気圧され、レイカは渋々ベッドから這い出た。廊下に出ると、螺旋階段を下りていくさわ子を見かけ、その後を急いで追う。