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Re: 死神は君臨する ( No.155 )
日時: 2011/10/17 20:32
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: Pmy7uzC3)
参照: http://www.facemark.jp/facemark.htm

「計画って、何?」
みるくが聞き返すが、二人は答えようとしない。仕方なくみるくは頷いた。
「いいよ」
すると二人はみるくに歩み寄り、ほんの小さな声で囁いた。
「北城アカデミーの重鎮であり、私達の父親である北城龍之介は、三十年前から練ってきた作戦を…実行しようとしてる。それを止めるの」
「止めるの」と言った瞬間に、二人はパッとみるくから離れてしまった。みるくは答えを聞いてもなお、真相が分からずにいた。それを見かねたエリカが、みるくに言った。
「みるくさん、つまりこういう事なのです。エリカのお父様はたったの十歳で、当時の四天王の力も借りながら北城アカデミーを設立したのです。表向きは皆さんご存じの通り、冒険組織なのですが、裏ではある作戦が練られていました——死神作戦です」
エリカはここで言葉を止め、深く息を吸い込んだ。それからまた、口を開き、語り始めた。
「死神作戦とは、まるで死神の様に人々を殺傷し、生き残った人間に多大な恐怖を与える、という作戦なのです。このまま放っておけば、国内だけでなく、国外の人にまで被害が出るかもしれないなのです。エリカ達はそれを止めたい。だけど、それには沢山の人が必要になります。でも、そんな暇なんて無いのです。そこでお姉ちゃんが思いつきました。北城アカデミーの作戦の多くに携わっている、四天王を殺す事を…」
 エリカが口を閉じる。さっきまで続いていた沙羅やさわ子の泣き声も途切れ、公園はまたまた静かになった。風に煽られた山桃の実が、ボトリと数個、堅いアスファルトの地面に落ちた。

第八章・完