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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死神は君臨する ( No.163 )
- 日時: 2011/11/30 21:12
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
- 参照: http://www.facemark.jp/facemark.htm
しばらく歩を進めると、レイカの住む通りの辺りに差し掛かる。
「俺が見ていたのは、上辺だけの北城だったのかな」
ふと、勇樹が独りごちる。
「…そうかもな」
正樹が辛そうに言うと、勇樹もその頭を垂れた。
「どうして、殺人なんかするんだろう」
俯いたまま歩き続けた二人は気付かなかったが、その会話の少し後、帰る途中のレイカやエリカとすれ違っていた。
前方を歩く正樹と勇樹に気付いたレイカは、これまで淡々と動かし続けていた足を止めた。耳を澄ますと「どうして、殺人なんかするんだろう」と言う勇樹の声が聞こえてくる。レイカはその声を聞くなり、すべての事情を悟った。——ほんの一部分だけだが、聞かれていた。あの会話を。
レイカの心臓の鼓動が早まる。ドクドクという音が小刻みに響き、それに合わせて頭がキリキリ痛んだ。しかし、声だけは冷静さを保っていた。
「…それはね、いつか教えてあげる——」
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