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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死神は君臨する【クライマックスも間近!】 ( No.216 )
- 日時: 2011/11/30 21:16
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
- 参照: http://www.facemark.jp/facemark.htm
—第十一章 紅い涙—
エリカの言い放った一言に、金髪少女はびくりと大きく身体を震わせた。
「…ッ!!死にたくなィ…ッ、マリーゴールドはまだ、死にたくなィ…ッ」
金髪少女——マリーゴールドは目に大粒の涙を溜め、エリカに訴えかけるように言った。しかし、エリカはマリーゴールドのすぐ横を通り過ぎ、まっすぐ勇樹のもとへ走り寄った。
気付けばもう、兵士のほとんどが起き上がり、少年少女を囲むようにして迫ってきていた。
「勇樹さん…大丈夫ですか?」
勇樹に一言声を掛けてから、エリカは勇樹の腹の辺りにあるであろう傷口を探した。すぐにTシャツをめくると、脇腹と背中の境目辺りに大きな打撲傷があり、血が滲んでいた。
「うっ…」
あまりの酷い怪我にエリカは息を呑み、それからハッとしたように傷口の手当に取り掛かった。まず、マリーゴールドの持っていたバッグからタオルとアイスパック、包帯を取り出し、勇樹の脇に座りこんでまず、タオルを損傷部位に置いてから更にアイスパックを乗せ、包帯でややきつめに巻いていく。
「お姉ちゃん…」
急にエリカが弱々しく言ったので、これまで茫然としていたレイカは、驚き交じりに答えた。
「何?」
「私は、勇樹さんに付き添ってる。お姉ちゃんは先に行ってて」
「…!そんなッ、エリカも一緒に——」
「そんなの駄目よ、お姉ちゃん」
エリカは強い口調で言うと、ついさっきマリーゴールドを切り裂いたばかりの鉈を握り締めた。
「安心して。私ね、もう、『ひ弱な』女の子じゃないから」
「…?」
エリカはレイカが驚くすきも与えないうちに、勇樹以外の全てのメンバーを、兵士の輪の隙間へ吹っ飛ばした。
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