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Re: 死神は君臨する【参照1000突破★】 ( No.240 )
日時: 2011/11/30 21:21
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
参照: http://www.facemark.jp/facemark.htm

—第十二章 眠り続けた眠り姫—

 これほど嬉しかった事は無い。気付けば沙羅は、レイカに抱きついていた。ついで、涙まで流していた。
「レイカぁ……!! 待ってたよぉ……!!」
今までの自分が口にすることの無かった言葉。それが、こんなにもスルスルと出てくるなんて、沙羅は驚きに目を瞬かせた。
「……よしよし、沙羅」
レイカが母親みたいな口調で沙羅をなだめる。
「ムフっ。沙羅が泣いてるニャァー」
みるくが沙羅をからかうと、沙羅はキッとみるくを睨みつけ、冷たく言い放った。
「うっさいわね。あんただって、本当は——」
「あれ、何だ……あれ。」
沙羅の言葉は、正樹の一言によって綺麗に掻き消された。正樹が指差しているのは、メルヘンな装飾がされたエレベーターの入り口付近。よく見るとそこには、一人の女の子が眠っていた。
 妖精や小人や花や木などの装飾が施されたこの空間では見つけにくい、これまた幼い感じの天蓋付きベッドで、気持ち良さそうに寝息を立てている。年齢は八歳くらいだろうか。白い肌に茶色の髪が絡んでいて、睫毛は長く、いかにも美少女の部類に入りそうな顔立ちをしている。
「みゅ……あれぇ?」
その女の子は目をぱちりと開けると、目を擦りながら起き上った。