ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 死神は君臨する【更新再開かも…!?】 ( No.255 )
日時: 2011/12/08 19:44
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)

 謎の細菌X——それは、未知の細菌である。この菌が人体に入ったことで起こりうる症状は確定されていない。しかし、摩訶不思議な反応が起こることだけは、解明されていた——。そう、年齢が遡ることも在り得るのだ。そしてそれは、一人の女性に当てはまっていた。
「それが愛理さん……って訳?」
沙羅が、不安げな表情で愛理に問う。愛理は首を縦に振り、「そうよ」と答えた。
「私は、実験台。北城龍之介によって、この細菌の、人体への影響を調べるために、実験台にされたのよ」
そう、あれは夏の日の事だった——
そう言って、藍原愛理は今までの経緯を語り始めた。

 そう、あれは夏の日の事だった。まだ年齢が遡っていない、私がごくごく普通の三〇歳の時だったわ。龍之介に呼び出されたのは。あ、勿論、麗衣も一緒だったわ。私達は、道路近くの杉林にやって来たの。ほら、あの綺麗な花畑があるところよ。そう、そこにいってね……。あの色とりどりの花畑には似合わない、灰色の箱を見つけたの。あの箱は、謎の細菌Xの、増殖にとても良い条件を含んだものらしくて——。あの箱の中にあった注射器を、龍之介が、私と麗衣の腕にブスリと刺したの。すると意識が朦朧としてきて、気が付いたらここに居たの。……え、注射器は何本あったかって?うーん、多分、十本くらいあったんじゃないかな。