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Re: 死神は君臨する【更新再開かも…!?】 ( No.258 )
日時: 2011/12/09 18:11
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)

あれ、さわ子ちゃん……だっけ? どうしたの。顔色が悪いわよ。——ええッ! あなたも、あの花畑で、誰かに襲われたのね……。

 さわ子の「私も、あの場所で誰かに襲われた」という言葉で、藍原愛理は背中からひっくり返りそうになった。
「あなたも、あの花畑で、誰かに襲われたのね……」
「ええ」
相変わらず青ざめた顔で、さわ子が答える。しかし、愛理の方は至って冷静で、「ちょっと考えさせて」と言ったきり、黙り込んでしまった。
 ——数分後。
清々しい顔で、愛理が口を開く。
「さわ子ちゃん、あなた、細菌は投与されてないみたいよ」
「え……襲われたのに?」
「あなたを襲ったのは、きっと、玄次君よ。実はね、玄次君はああ見えて、とっても慈悲深いのよ」
「そうなんですか……」
「多分、あの時まだまだ幼かったあなたを見て、思い直したのね。X菌は投与しないって。だからあの日、玄次君はとても晴れやかな顔をしていたのね——」
「え、でも、だったらなんで今、私達を打ちのめそうとしているんですか?」
「玄次君は、あの日、北城龍之介から、酷い罰を受けたに違いないわ。アカデミーの邪魔をするような人間を、容赦なく殺せと……」
藍原愛理はそこまで言うと、溜息をついた。それから、エレベーターの入り口付近を人差し指で示した。
「あのエレベーターはね、実は、一度に二人しか乗れないの。でもね、このエレベーターは、北城龍之介が入り浸っている秘密の部屋に続いているのよ。さあ——誰が乗るの?」