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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死神は君臨する【完結まで猛ダッシュ!!】 ( No.259 )
- 日時: 2011/12/09 21:48
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
レイカは迷った。仲間を捨てて父と対峙するか、仲間に全てを託すか。迷って迷って迷って迷って、迷った。
「レイカ、良い? ちゃんと聞いてね」
沙羅がレイカの肩に手を置いて、言った。
「沙羅……」
レイカが力なく呟くと、沙羅は気合の籠もった声で、レイカの迷いを吹っ飛ばした。
「何を迷ってるの? 行きなさい、このエレベーターに乗って! あなたしか、この惨劇に終止符を打つことが出来ないのよ!」
それから、周囲を見回して、藍原愛理に目を止めた。
「レイカ……藍原さんと行って! 彼女は信頼出来るわ」
「え、私? ……良いわよ、一緒に行くわ」
藍原愛理は頷くと、メルヘンエレベーターのボタンを押した。ウインウイン……という機械音が、静かな空間に響く。
「じゃあ皆……またね」
レイカはそう言って、皆のもとから離れていった。
「レイカ!」
「北城……」
「気を付けてね!」
背後から仲間たちの声が追いかけてくる。レイカはそれを振り切って、愛理と一緒に箱の中に乗り込んだ。ゆっくりと扉が閉まり始める。そして——その、少しだけ開いている扉の隙間から見えた光景。レイカは絶句した。
……その部屋とも言えない空間に残った仲間たちが、いつの間にか兵士によって捕えられていた。
第十二章・完
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