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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死神は君臨する【完結まで猛ダッシュ!!】 ( No.262 )
- 日時: 2011/12/10 12:33
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
—第十三章 牢獄の中で—
機械的な、微かな音を立てて、エレベーターは上昇していく。もうすぐ、父に会って、この計画に終止符を打てる——はずなのに、レイカは、こんな事は絶対に出来ないんじゃないかと思った。……もう、十数分もたったろうか。右腕につけておいた腕時計を、ちらりと見やる。驚いたことに、エレベーターに乗ってまだ、一分しかたっていなかった。
「沙羅ちゃん達……大丈夫かしら」
ポツン、と小さく愛理が呟いた。レイカはそれにも無反応で、ただ、怯えていた。仲間たちの運命を。父の姿を、自らの目に焼き付ける事を。目に見えるもの、全てが怖かった。
「ねえ、レイカちゃん」
愛理が、氷のように身動き一つしないレイカに、語りかけてくる。
「……なんですか」
生気が全く籠もっていない声でレイカが答えると、愛理は、その悲しげな顔を怒りに引き攣らせた。
「そろそろ好い加減にしなさいッ!」
パシンッ、と音を立てて、レイカの頬が叩かれる。
「え……ッ?」
レイカが、呻き声に似た声を漏らす。愛理は厳しい顔で続けた。
「今、仲間の心配をしてどうするの!? ……何にもならないじゃない」
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