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Re: 彼岸花の花冠(オリキャラ募集!) ( No.18 )
日時: 2011/08/13 01:27
名前: いさと ◆o4wie.Wyc. (ID: abkT6QGo)


第二話 Yakumo side...



 獣龍族は人間たちと違って身体能力がすごく優れている。その中で戦闘力にも長けてる者はアレース10ノ神になれる。と、いうわけだ。……実をいうと、これは生まれつきである。
 アレース10ノ神は“アレース神の力”というものを生まれつき持っているのだ。この力は獣龍族が崇拝しているアレース神より授かったものとされている。
 そんな中で序列第四位のヒスイは黒い髪をなびかせて暗い森の中を走る。南北の補給路以外に敵の存在が確認されたから探りに行けとのこと。


「(我としては珍しく命令を聞いているものだ……)」


 ヒスイは苦笑し静かに、かつ、素早く人間側の拠点を目指す。


「(見つけた……! 人間どもだな。イブキが攻撃はせずに情報を集めろと言っていたが……)」


 とりあえず、分かったことだけ伝えようと思い、“獣龍鳥”を呼び寄せ、本部にいるヤクモに伝える。
 獣龍鳥とは、獣龍族のみ使える情報を伝える鳥のことである。


「(敵は、多くないな。10人ぐらい……か。ん? あれ、は……)」


 ヒスイは息を呑む。そしてその刹那、思わず獣龍鳥を飛ばしてしまった。
なぜ、彼がここにいる?ヒスイは息をするのを忘れて人間の拠点にいる彼を見つめる。

 そして思わずヒスイは敵陣に突っ込んだ。人間達は野宿だったのでヒスイが来たことには音でだいたいの者が分かった。


「……な!? 敵襲! 敵襲!」

「アレース10ノ神!? 一人で突っ込んできたぞ!」


 人間の兵が大声を上げて叫ぶ。—が、ヒスイの耳には入らない。兵を倒し、ただただ、彼の元へ……。


「ヤーデ……だろう?」


 ヒスイは銃を構えた彼を目の前にしてポツリという。過去に愛した男、ヤーデ。それが今、ヒスイの目の前にいるのだ。


「……は? おい、何言って」

「会いたかった……!」


 ヒスイは彼に飛びつく。だが、彼は困惑していた。


「あの日の約束を果たそうと思う。ヤーデ、我と共に行こう」

「だからアンタ誰だよ!?」

「わ、忘れたのか!? ヤーデ! 我はヒスイだ!」

「ヒスイ……?」


 ヤーデと呼ばれる男が懐から手帳を取り出し、パラパラとページをめくる。


「手帳の記録にも乗ってない……。俺はアンタなんて知らねぇぞ? それに俺の名前は『ネフリティス』だ」

「な、なに言ってるんだ! ヤーデだろう? 我は」

 
 ヒスイが言葉をつなげようとして瞬間。銃声が鳴り響いた。


「てめぇ! ネフリティスから離れやがれっ!」

「ジェダイ、ネフリティスにも当たっちゃう! 夜だから命中率下がるし……」


 暗闇の中から一人の青年と少女が現れる。銃弾の何発かはヒスイに当たった。が、外傷はまったくない。ヒスイの神の力がそれを阻止するのだった。


「ジェダイ、ミサ!」

「っち、ANの者たちか……! ヤーデ、我はお前に会いにまた来るからな。だから我のこと思い出してくれ……」


 ヒスイはそう言うと、風のごとくこの場を去った。


「(ヤーデ、また会えた。今回は若造に邪魔をされたが、明日も会いに行こう。そして約束した通り、ずっと共にいるんだ……!)」



この日から、ヒスイの言うヤーデ……もとい、ネフリティスに“愛に行く”ことが日々日課とされるのであった。